現影少女

kinmokusei

第1話アスカ王子との出会い

人間は恐ろしいものだと聞いて育ち、人間を避けるようにして生きるユニコーン達がいた。


ミリスはユニコーン。

馬の形をし、角と羽のある妖艶な動物。


ある時ミリスは人間界へ行き、人間の罠にかかって動けなくなってしまった。


ミリスは恐ろしかった。

人間に捕まりこの先どうしたらいいのか。


そんな時だった。


1人の人間に見つかってしまった。


もう終わりだと思った。


「グルルルッ、、、!!」


ミリスは精一杯威嚇をする。


足が罠にくいこむ。


痛さと恐ろしさで一杯だった。






「これは、、、?」


1人の青年だった。

一目でどこかの王子様だと分かった。


王冠をかぶり白タイツにカボチャパンツ。


青年はあたしを見て驚いた顔だ。


無理もない。


ユニコーンなんて珍しいに決まっている。


あたしはなんとか逃げようと翼を広げた。


すると、、、。


「待て待て。足がちぎれてしまうよ。それにしても珍しい生き物が捕まったものだ。少し待ってろ。」


口調は優しいが、人間だ。


「グルルルッ、、、!!」


あたしはまた威嚇をする。


青年はその場を離れた。


もうダメだ。


他の人間を呼んでくるんだ。


あたしは恐怖で一杯だった。


しかし。


「たぬき取りのためにかけた罠だったのだが、、、。」


青年は1人で戻ってきた。


たぬき?

あたしを食べるつもり?


「グルルルッ、、、!!」


あたしは暴れた。


「おとなしくして。別に俺は何もしないから。」


そう言って青年は笑った。


「人参食べるかな?」


罠を外し、人参と言う物をあたしの口に押し込んだ。


な、なにこれ?

美味しい!!


「俺はアスカ。痛かっただろう?もう大丈夫!」


そう言って足の手当てまでしてくれた。


「もう捕まったりしないようにな!」


そう言ってあたしにキスをして去って行った。


アスカ王子、、、。


これがアスカとあたしの運命の出会いだった。





アスカ王子、、、。


どうしたんだろう。


あたしは優しいキスに顔が熱い。


「ミリス!!婚約が近いのに何故人間界なんて行ったんだ!!我らなんの貢ぎ物もできないくらいの貧しいユニコーンの所へ王族のユニコーンから求婚の申し出があったんだぞ!

少しは喜んだらどうだ?」


それが嫌だったから逃げたのよ、、、。


あたしは心の中で思う。


「しかも人間に見つかるなんて、、、。恐ろしい!」


ユニコーンの世界でも政略結婚なんてものもある。

あたしはただのユニコーン。

血筋が言い訳でもない。

なのになんであたし?


「お父さん、、、。あたしは好きな人と一緒になりたいよ。婚約なんて、、、嫌、、、。」


ふとアスカ王子の顔が浮かんだ。


「ミリス、、、。光栄なことなのよ?分かってちょうだい、、、。」


お母さんまで、、、。


「考えさせて、、、。」


そう言うしかなかった。

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