第49話 邪悪な使者

 麻子を前に歩かせ、ジャフェスはエレベーターを後にした。

 目の前には、細長い通路が真っすぐ伸びている。その通路を進み、突き当たりの扉の前に立った。その上側には、赤いレーザー光を放射した読み取り機が見える。

「ふふっ、捨てなくてよかったな」

 ジャフェスがタグチップをかざすと、扉が開いた。その中は円形の巨大な部屋になっている。部屋の形は10フロアにあった建物に似ているが、規模は10倍以上はあるだろうか。至るところにベッドがあり、その上には数多くのロボットアームが設置されていた。

 作業をしているアンドロイドが、一斉にジャフェスたちに目を向けた。麻子は、少し恐ろしくなり、顔を背ける。

 一体のアンドロイドがジャフェスに近づいてきた。短髪だが、顔は女性的で非常に美しい。手には端末を持っている。

「あなた方、人間ですね?」

「なら、どうする?」

 ジャフェスが威圧的な態度で答える。

「あなたがスリーパーであることは知っていますが、これだけの数のアンドロイドが相手では、勝つことは難しいしょう。しかし、我々も多大な犠牲を払いたくはありませんし、何より、あなたには人質がいる」

 アンドロイドは、一呼吸おいてから話を続けた。

「地上へは、この私が案内しましょう。ですが、アンドロイドたちを傷つける真似は止めて下さい」

 ジャフェスは、少し考えた後、一言

「いいだろう」

 とだけ答えた。

 部屋の中央を横切るように、3人は歩を進めた。周囲にはベッドが並び、アンドロイドが寝ているものもある。ロボットアームがパーツを運ぶ様子を見た麻子は、ここがアンドロイドのメンテナンス工場であることを知った。

 入ってきた場所とはちょうど反対側のところにも扉がある。その扉を抜けると、開けた空間が現れた。

 3人のいる場所から真っ直ぐに橋が伸びている。その先には金属の壁をまとった巨大な円柱形の建造物があった。その建造物は、遥か下にある地面から建てられているらしく、下のほうには無数の橋が見える。上側にも橋が並び、建造物の最上階はどこにあるのか分からない。その橋は、麻子たちがいる側の建物につながっている。そして、その建物も目の前にある建造物と見た目がそっくりだ。まるで、双子の塔が並んで立っているように見える。

「この建物の最上階に移動します」

 アンドロイドがそう言って橋を渡り始めた。麻子とジャフェスもその後を付いていく。

 その建造物が何のために作られたものなのか、麻子には全く想像もつかない。ただ、あまりにも巨大なその姿に、ただ圧倒されるばかりだ。

 建造物の中に入り、複雑に構成された通路を歩いてゆく。ナビゲートがなければ絶対、目的地にたどり着くことはできないだろう。どのように通ってきたのか、麻子はすぐに忘れてしまった。

 エレベーターに乗り、アンドロイドが最上階のボタンを押した。

「最上階が地上になるのか?」

 ジャフェスがアンドロイドに尋ねた。

「いいえ、そこからさらに、上へと昇ります」

 それを聞いて、ジャフェスは肩をすくめた。

 ジャフェスの前には麻子が立っていた。長い黒髪が、照明の光によって、きれいなリング状の光の輪を形成し、まるで冠のように見える。ジャフェスは、思わず麻子の髪を手ですくってみた。麻子が後ろへ振り向き、ジャフェスをにらみつける。その様子を見てジャフェスは気味の悪い笑みを浮かべ、麻子の髪を握り、引っ張った。無理やり上に向けられた麻子の顔が苦痛に歪む。ジャフェスは、その顔を眺め、胸の鼓動が早くなるのを抑えることができなかった。

 エレベーターが停止して、扉が開いた。

「到着しましたよ」

 アンドロイドの声に、ジャフェスは我に返って、持っていた髪を放し

「行け」

 と麻子に命じた。

 エレベーターから出てさらに通路を歩く。扉を開けた先には、広い部屋があった。目の前には何かの装置が並び、各装置には扉が付いている。

「地上に出るためには、ここで服を着替え、体を洗う必要があります」

 アンドロイドは、ジャフェスの右手を見て

「あなたは治療も必要になりますね」

 と言い添えた。

「菌を持ち出さないためか?」

「その通りです。洗浄ユニットは複数ありますから、どれでも好きなものを使って下さい」

 アンドロイドの言葉を聞いて、2人は扉の前に立った。扉が開き、中へ入ると照明で部屋の中が明るくなった。

「ここで服を脱いで下さい」

 ナビゲーターの指示に従い、ジャフェスはボディスーツや下着を脱ぎ捨てた。

「床に足のマークがある位置にお立ち下さい」

 全裸の状態で、指定された場所に立つ。上側から、ジャフェスを挟み込むように装置が下りてきて、回転し始めた。ジャフェスの体をスキャンしているらしい。

 それが終わると、目の前の扉が自動的に開いた。

「中へお入り下さい。洗浄を開始します」

 ジャフェスは、扉を抜けて小さな小部屋の中に入った。扉が閉まり、あらゆる方向から、ミストを体に掛けられた。

 強い風を吹き付けられ、ジャフェスの長い髪が宙を舞った。手に付いていた血が洗い流され、破れた皮膚がはっきりと見えるようになると、ロボットアームが右腕を持ち上げ、傷の治療を始める。

 ほんの数分程度で、傷があったとは分からないようになった。

「股間の部分も治療できないのか?」

 ジャフェスの問いに、ナビゲーターが

「古い傷は修繕できません」

 と答えたのを聞いて、ジャフェスは鼻を鳴らした。

 やがて、体が完全に乾燥し、風が止んだ。前方の扉が開き、ジャフェスは小部屋から外へ出る。

 そこにはテーブルがあり、服が置かれていた。

「その服を身に着けて下さい」

 ナビゲーターの指示通り、服を着る。上半身は黒のTシャツ一枚、下半身は下着と、ベージュのハーフパンツだ。サイズはピッタリである。そのために、体をスキャンしたのだとジャフェスは気づいた。

「お疲れさまでした。快適な地上への旅をお楽しみ下さい」

 昔は、この場所を多くの人間が行き交ったのだろうとジャフェスは想像した。ここは、地上と地下世界をつなぐ施設らしい。しかし、今はその役目もなく、無用の長物となってしまったようだ。

 外へ出ると、すでにアンドロイドが待機していた。それまで着ていた白衣は、白のワンピースに変わっている。しばらくして、麻子も洗浄ユニットから姿を現した。上半身はピンクのTシャツ、下半身はデニムのショートパンツである。スラリと伸びた長い足を見たジャフェスは

「なかなか、いい眺めだ」

 と言って、下品な笑顔を見せた。


 扉が開いた先には階段がある。中は照明がなく、暗闇になっていた。

「この階段で、さらに上へ昇ります」

「エレベーターはないのか?」

「この先は通電されていません。エレベーターなどは動いていないのです」

「面倒だな・・・」

 ジャフェスはそう言って、頭を掻いた。

 階段では、麻子とアンドロイドが横に並び、その後ろにジャフェスがいた。アンドロイドの持っている端末に付いたライトで、周囲は明るく照らされている。ジャフェスは、麻子の背後で、尻や足を眺めながら階段を上っていた。麻子は、ジャフェスが後ろにいることが気になって仕方ない。

「もう少しです。がんばって下さい」

 アンドロイドが麻子に声を掛けてきた。

「ありがとうございます。あの、ずっとここでお仕事されているんですか?」

「2年前から、ここにいます。アンドロイドのメンテナンス作業が主な役割ですね」

「地上に出たことはあるんですか?」

「ありません。誰も、アンドロイドも、地上には行かないことになっているんです」

「じゃあ、地上の様子は誰も知らないんですか?」

「その通りです。地上とは交信もしていませんから、お互いに知っていることは何もないのです」

 アンドロイドの返答を聞いて、麻子はうなずくだけだった。

「どうして、こんな地下施設を建てたんだ?」

 後ろでジャフェスも話を聞いていたらしい。アンドロイドに質問を投げかけた。

「温暖化による海面上昇で、地上の居住地が減少したのが理由らしいですね。しかも、人工は指数関数的に増大していたそうですから。今はどうなのか分かりませんが」

「ならば、他にも地下施設は建てられているということだな」

「それは不明です。また、未知の病原体を掘り当てる可能性がありますからね。他の手段を選んでいるかも知れませんよ」

「病原体は、外に流出してはいないんだよな。俺たちが初めて外に持ち出すわけか」

「実は、それも分かっていないんです。もしかしたら、少数の感染者が流出していたかも知れないし、そもそも、地下を掘削したときの大量の土砂をどうしたのか不明ですから」

「土砂の中に病原菌が混在していたら、たしかにやばいな。外を見るのが楽しみになってきたな。とっくの昔に人類は滅んでいる可能性もあるわけだ」

 そう言って、ジャフェスは声を出して笑った。


 階段を上り切り、目の前の扉を開ける。電動の扉だが、通電されていないため、アンドロイドはハンドルを回して扉を開けた。

 扉の先は、左右に通路が伸びていた。扉のある側は金属製の壁になっていて、反対側は何もない空間だ。下を見ても、底が深くて見えない。通路に柵はあるが、それは非常に低く、麻子の腰のあたりまでしかなかった。バランスを崩せば、落ちてしまう可能性もある。

「ここはメンテナンス時に使われる場所ですが、ジェット・パックで移動することを前提にしているので柵が低いのです。危険ですから、端は歩かないようにして下さい」

 アンドロイドが注意を促す。

 アンドロイドは、扉から右方向へと進んだ。その後ろに麻子、ジャフェスと続く。麻子は、できるだけ右側を歩き、左のほうは見ないようにした。

 壁は円を描くように湾曲している。通路もそれに沿って曲がっていた。左側にも何かが建てられているらしいが、暗くてよく分からない。

「なんだか、暑いな。それに、湿度も高いようだ」

 ジャフェスが環境の変化に気づいた。

「ここは、もう地上の高さに近い場所です。環境も地上に近くなっているのです」

 と、アンドロイドが説明する。

 やがて3人は、何本ものレールと交差する場所へたどり着いた。レールは、左側にある建物につながっているようだ。

「このレールを伝って隣の建物に移動します」

「このレールは何だ?」

 ジャフェスが質問した。

「エレベーター用のレールです。ここで水平に進み、隣の建物に入る仕組みです」

「エレベーターを使えば、ここまで運んでくれるわけか」

「その通りです。このレールには柵などありませんから、端は危険です。必ず、中央を通って下さい」

 レールは、かなりの長さがあった。隣の建物まで、200m程度はあるだろうか。レールはそれほど幅がなく、麻子は怖くて仕方がなかった。それを察したのか、アンドロイドが手を差し延べる。

「どうもありがとう」

 麻子は、礼を言ってアンドロイドの手を握った。

「私は紫龍麻子と言います。お名前は?」

 麻子が尋ねると、アンドロイドは

「あなたのお名前はマリーから聞いていますよ、紫龍さん。私の名前はサラ。よろしくね」

 と答え、笑みを浮かべた。


 反対側の建物に、ようやく到着した。

 そこには広いスペースがあったので、麻子も安心することができた。レールは大きな扉で塞がれている。

「この扉も、ハンドルを使って開ける必要があります」

「ここを抜ければ地上に出られるのか?」

 ジャフェスは、サラの前に立ち、問いかけた。

「この先にもう一枚、扉があります。それもハンドルを回せば開けられます。その先は・・・」

「その先は、なんだ?」

「私にも分かりません。地下に住む者にとっては未知の領域になります」

「過去の・・・地上から封鎖される前の記録は残っていないのか?」

「理由は分かりませんが、全て破棄されています。ですから、地上に関して何もお答えすることはできません」

「そうか・・・では、お前の役目はここで終わったわけだ」

 ジャフェスは、サラへ手を伸ばした。サラは、ジャフェスの予想外の行動に後ろへ下がる。

 その間に、麻子が割って入った。麻子は両手を横に伸ばし、ジャフェスをにらみつけていた。

 その麻子の顎をつかみ、ジャフェスは笑いながら

「そのかわいい顔に傷をつけたら、後の楽しみが半減してしまう。お前はおとなしくしてな」

 と顔を近づけた。しかし、ジャフェスの暴挙に対する怒りのせいか、麻子は怯まない。

「サラを傷つけないと約束して、お願い」

「そう言われると、余計に壊したくなるな」

 そう言って、ジャフェスは笑い出した。この男が、弱者を破壊することに無上の喜びを得るということを麻子は認識し

「最低な人間ね」

 とつぶやく。その声を聞いて

「俺は、お前と同じ、選ばれた人間だ。同じ仲間同士、仲良くしようや」

 と叫び、なおも狂ったように笑い続ける。麻子は、その姿を見てだんだんと恐怖が蘇ってきた。

 ジャフェスは今、この場で、麻子を陵辱したい衝動に駆られていた。無理やり自分のほうへ向けている麻子の顔を見てジャフェスは舌なめずりした。麻子は本能的に危険を感じ、逃げようとするが、ジャフェスは背中に腕を回して抱き寄せる。麻子が必死になって抵抗するのを、ジャフェスはまるで楽しんでいるようだ。ジャフェスが、麻子のTシャツに手を掛けた時である。

「紫龍さんから離れなさい、ジャフェス!」

 と叫ぶ誰かの声がジャフェスの耳に届いた。マリーがついに追いついたのだ。上半身は白のワイシャツ、下半身は黒のレギンスという出で立ちで、手には銃を持ち、銃口をジャフェスに向けている。

 ジャフェスは、麻子の首に腕を巻きつけ、マリーのいるほうを向いた。

「俺に命令するんじゃない。この女の首をへし折られたくなかったら、貴様のほうこそ、おとなしくしてな」

 マリーは、銃を撃つことができず、動きを止めている。

「おい、扉を開けるんだ」

 サラは、ジャフェスの命令に従い、ハンドルを回し始めた。

 巨大な扉がゆっくりと持ち上がる。その奥は暗闇が支配していた。人が屈んで通れるくらい扉が開いたところで、今度は

「中に入って、向こう側の扉を開けてくるんだ。早くしろ」

 とサラに命じる。サラは、言われるがまま、中へと入っていった。

「おい、その銃をこちらに投げろ」

 マリーに向かって、銃を要求するジャフェスに

「先に紫龍さんを放して、お願い」

 とマリーは懇願し、銃を床に置いて、両手を高く上げた。撃たないという意思を伝えるためだ。

 ジャフェスは、首から腕を外したが、麻子の手を握った状態で、解放はしなかった。

「銃を蹴って俺に渡せ。そしたら、この子は解放してやる」

 マリーは、ジャフェスの言う通りに、銃を前方に蹴った。銃は床を滑り、ジャフェスの足元で止まった。それを拾い上げるジャフェスの顔は満足そうに笑っている。

「紫龍さん、危険だから、できるだけ頭を低くしていてね」

 マリーが、麻子にそう言って笑った。

「自分の身を心配したほうがいいんじゃないか?」

 ジャフェスがそう言って銃口をマリーに向ける。

「紫龍さんを解放する約束でしょ?」

「この子は、俺と一緒に地上へ旅立つんだ。だから、お前は安心してくたばりな」

「せめて、私が撃たれるところを彼女に見せないで。その扉の向こうに移動させてちょうだい」

 ジャフェスは、しばらく考えていたが、やがてこう言った。

「お前が撃たれるところを見れば、この子はショックだろうな。考えるだけでゾクゾクするぜ」

 歯をむき出して笑い顔を見せながら、ジャフェスはトリガーに手を掛けた。


 彩は、何かの液体の中に漂っていた。

 それは濁っていて、周囲の様子がよく分からない。血のように赤くも見えるし、沼の底みたいに黄色にも見える。

 自分がどうなったのか、あまり記憶がない。鬼神がやって来たことは、おぼろげながら覚えていた。しかし、どんな言葉を交わしたのか思い出せない。

 すごく幸せな気分だったことだけは覚えているのだが。

 底も水面も見えない。落ちているのか、浮かんでいるのか、留まっているのか、流されているのかも分からない。しかし、自分はここから何とかして抜け出さなければならないということだけは、なぜか理解することができた。

 手足を動かしてみる。周りの液体は粘度があまりにも高く、泳ぐことは不可能だ。どうやって、ここから脱出すればいいのか、彩には検討もつかない。

 突然、足に何かが絡みついた。何が絡みついたのか、その正体を知ることはできない。それは、自分をどこかに引き込んでいるようだ。

 手で周りの液体を掻いて逃れようとするが、あまりにも抵抗が強く、手がほとんど動かせない。引き込む力は恐ろしく強く、彩には為す術がなかった。

 やがて、目の前に黒い何かが見えてきた。彩は、その黒い何かに引き寄せられているらしい。必死に抵抗を試みるが、全ては徒労に終わった。

 黒い物体は、彩の足を半分ほど飲み込んだ。その飲み込まれた部分が、中で溶けていくように感じられる。痛みはないが、だんだんと感覚がなくなっていく。

 それに取り込まれれば、自分は消えてしまう。彩は半狂乱になって逃げようとした。しかし、足は完全に飲み込まれ、すでに腰のあたりまで溶けてなくなっていた。

 黒い触手が彩の腕を絡め取る。ついに、彩は動くことが全くできなくなった。そのまま、黒いものに取り込まれ、同化するのを待つばかりである。

(鬼神さん、助けて・・・)

 鬼神の顔を思い出す。消えてしまえば、鬼神のことも完全に忘れてしまうのだろう。それだけは避けたいのに、どうすることもできない。

 とうとう、全身が黒い物体の中に取り込まれてしまった。自分の記憶を守ろうと、彩は鬼神と過ごした日々を懸命に思い起こしていた。しかし、その記憶もだんだんとかすれ、遠ざかっていくように感じられる。

 薄れゆく意識の中、彩はふと、鬼神が最後に言った言葉を思い出した。

「葉月さん、あなたを愛しています」

 彩の顔が消えていき、涙だけが残った。


 ジャフェスが銃を撃とうとした時である。麻子が手を伸ばしてジャフェスの銃を持つ手を払おうとした。

「紫龍さん、危ない!」

 マリーが思わず叫んだ。

 ジャフェスはその動きを読んでいたらしい。銃を持った手を上に挙げ、麻子の手は虚しく空を切った。

「お前とは後でじっくり遊んでやる。じっとしてな」

 ジャフェスが、麻子の手を放し、胸のあたりをトンと突いた。麻子は尻もちをついて転んでしまった。

「紫龍さん、お願い、怪我するからじっとしていて」

 マリーが麻子に向かって叫ぶ。

「お前の銃はえらく古風だな。今どき、弾丸を発射するタイプの銃なんて珍しい。これは俺がもらっておくよ」

 もう一度、ジャフェスはマリーに狙いを定めた。

「じゃあ、これで最後だ」

 ジャフェスは、トリガーを引いた。

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