諦めない佐藤 蓮

side:西園寺 遥香


私が先生に告白してから数日が経ちました。本当はもっとロケーションがいい場所で自分の想いを告白するつもりだったのですが……先生のあまりの鈍さに思わず言ってしまいました。本当に計画していた通りにはいかないものです。


そして、そこからは先生に猛アプローチを開始していきました。先生に抱きつくスキンシップをしたり、2人で歩いていたらスッと先生の手を握ったり、腕を組んだりと様々なアプローチを仕掛けていきました。先生は私のアプローチにどうしたらいいのか分からない戸惑いの表情を浮かべていましたが、拒絶はしなかったので、私はこれ幸いと積極的にアプローチを仕掛けました。


しかし、そんな中で蓮が何もしてこないのが気になりました。私のアプローチを邪魔せずに、ただ呆然と私達を見つめる彼女に私は不審感を抱かずにはいられませんでした。


そして、もうゴールデンウィークも明日で終わるので、今日もうすでに私の家と言っても過言ではない先生のマンションに戻ろうという時に、私は蓮に呼び出され、私達は再び私が蓮に警告をしたあの場所にやって来ました。


「それで……蓮。話とは一体何ですか?」


私が彼女にそう尋ねたら、彼女はとても清々しい笑顔で


「うん。単刀直入に言うよ。遥香の気持ちはよく分かったけど、私はやっぱり遥香への気持ちを諦めきれないから、これからも遥香達の事を邪魔するね」


と、とんでもない事爽やかな笑顔で言いやがりました。思わず私は呆然と立ち尽くしてしまいましたが、すぐに復帰して


「いくら邪魔しても私の気持ちが変わらないのは分かってるはずでしょ?」


と、私は彼女にそう言いました。しかし、蓮はそう言われても表情を崩す事なく


「じゃあ、逆に聞くけど……遥香がもし私と同じ立場なら諦められたの?」


蓮にそう問いかけられた私は言葉が詰まりました。その問いかけに対する私の回答はノーです。諦められるはずがありません。恐らく私ならどんな手を使ってでも先生と先生と恋仲になった相手を別れさせようとしたでしょう。それぐらい私の恋心というのは厄介なものです。


「だから、私は諦めない。まぁ、でも僕にら姑息な手段とか出来そうにないから、堂々と2人の邪魔をしにいくからそのつもりでね!」


爽やかな笑顔でとんでも発言をした蓮はそう言って颯爽とその場を立ち去って行きました。私は蓮のその背中を呆然と眺めて立ち尽くすしか出来ませんでした。


いつの間にか、あの時とは逆の光景になってしまっていました……

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