芹沢 明日奈の本音

side:芹沢 明日奈


私は今日侍らせてい娘達に帰ってもらった。もちろんちゃんと笑顔で「また明日」と言って。そして、みんなが帰ったの確認し、私は大きく一つ溜息をつき、そして……


「触りたい……!桔梗ちゃんに無茶苦茶触って撫で回したい……!!」


私は溜まっていた欲望を吐き出すようにそう言ったら、まだ帰っていない副侍女長で、私の兄に嫁つまりは義姉にジト目で睨まれる。が、私はそんな義姉の視線なんて気にせず欲望を吐き出し続ける。


「あの綺麗な髪をぐしゃぐしゃと撫でたい……!あの唇に吸いつきたい……!小さいのを気にしてるあの胸を大きくするとか理由で揉みしだきたい……!」


「だんだん発言がセクハラ通り越して性犯罪者のソレになってきてるわよ」


「失礼な!?コレはピュアな私の気持ちだよ!?」


私は義姉の方を振り返ってそう主張するが、「どごがよ」とジト目で睨まれるだけだった。


「だいたい……好きな人が見てる目の前で女の子を侍らせる?」


義姉の指摘に私の胸にグサリと突き刺さる。そう。義姉の指摘通り、私は桔梗ちゃんが大好きだ。それはもう初めて見た瞬間一目惚れだった。その想いは彼女が何故か高校に通う事になっていても変わらない。むしろ、その制服姿で色んなプレイがしたいです。はい。

しかし、私には実に困った趣味がある。それは、先程のように複数の女の子を触るアレである。


「だって……しょうがないじゃん……私の家族って母親以外みんな男だから、女性の身体を知らなくてさぁ〜……女性の身体の柔らかさと気持ち良さを知ったらそれはもう抜けられなかったんだもん……」


私は唇を尖らせてそう言い訳をする。自分でも間違った趣味とは分かってるけど、初めて触れた自分以外の女の子特有の柔らかさや気持ち良さにやみつきになって……気がつけば、自分のルックスも相まってこの職場と職業を活かして趣味をし放題しまくった。


「まぁ……どちらにせよ、あなたと桔梗ちゃんの壁はあなたの趣味だけじゃないだけどね」


私がただでさえ頭が痛いのに、更に私の頭を痛くするような事を言ってくるこの義姉は本当に鬼畜だ。

私と桔梗ちゃんの家は代々西園寺家の従者トップ争いをしているせいか、すこぶる仲が悪い。まぁ、と言っても仲が悪いの私のお祖父様と、桔梗ちゃんのお祖父様だけで、他はそうでもなかったり……いや、もう一つあったね……


「牡丹の事についても問題よね」


義姉がまた私が今頭を痛める話をしてくる。そう。桔梗ちゃんの姉である牡丹は私をライバル視……いや、敵視している。だから、私が桔梗ちゃんが欲しいなんて言ったら、速攻で反対して桔梗ちゃんを私から遠ざけようとする未来が簡単に想像出来た。


「って言うか、牡丹の件についてはあんたは何も悪くないでしょ。話し合うつもりないの?」


「……私がどうこう言って解決する話でもないから」


そう。牡丹が私に敵意を剥き出すのは家の問題だけじゃない。ある一件が私と牡丹を今のような関係にさせている。そしてそれは、話し合うとかで解決する話ではない。


「はぁ〜……私……桔梗ちゃんを諦めるしかないのかなぁ〜……」


私は重たい溜息をつきながらそう呟く。


こう思ったのは何回目だろうか?諦めようと何度も思っても諦めきれない厄介な初恋の病に、私は再び重たい溜息を吐く。



私が、実は桔梗ちゃんと両想いだと知るのは……まだ先の話……

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