頑張って聞き込みをしたい

このままではいけない!今度こそ私は決意を新たに……西園寺さんの作ってくれた朝食をいただきます。本日の朝食は洋のメニューで、西園寺さんが全部手作りしたというコーンポタージュの温かさが、私に幸せの朝を……


って!?こらあぁ〜!!?私!!しっかりしなさい!!脳内で美味しそうにコンポタージュを味わっている私を往復ビンタし、私はとりあえず何気ない会話で西園寺さんの気になる人がいないか探る事にする。


「そういえば……相沢さんは西園寺さんとは幼馴染の関係なのよね?」


私はあえて西園寺さんにではなく、西園寺さんの隣で同じように朝食を食べている相沢さんに聞いた。


以前、相沢さんは食事の時にずっと西園寺さんの後ろに控えているので、私はどうしても気になって仕方ないから一緒に食べないか?と聞いたら


「私はメイドですからお2人と食事を共にする訳にはまいりません」


と言って断われた。それでも、やっぱり気になって仕方がない。かと言って、相沢さんには相沢さんのメイドのルールがあるので、私が若干困ったような表情を浮かべていたら


「先生もこうおっしゃってますから大丈夫でしょう。桔梗。元々、西園寺家は従者にそこまで言うような家ではないのはあなたが一番よく分かっているはずでしょう?」


西園寺さんが困っていた私に助け船を出してくれた。この一言で、相沢さんは渋々ながらも私達と食事を共にするのを了承してくれた。




「先生。前にも言いましたが、私の事は桔梗と呼び捨てに呼んでください。私はあくまでお嬢様のメイドですから。お嬢様の結婚相手である先生も私が仕える対象になります」


「ん〜……でも……その……学校で呼ぶ時に間違えたりするといけないから……ね……」


それに、この結婚生活がいつまで続くのかも分からないしね……という言葉が出かけて、私はすぐにそれを飲み込む。

前にこの言葉をポロっと漏らしたら西園寺さんに、「何か言いましたか?」と言わんばかりの微笑みと黒いオーラを放たれ、本能的に恐怖を感じた私はそれ以降そう言った言葉を口にしないよう努めている。


「なるほど。確かにその通りですね」


私の若干もっともらしい言い訳に納得してくれた相沢さん。しかし、ここで西園寺さんからまた違った発言が飛び出してきた。


「それを言うなら桔梗の方こそ、先生という呼び方間違ってるんじゃないかしら?」


西園寺さんのこの発言に戸惑う私。えっ?いや……間違ってないよね?確かに相沢さんは既に大学卒業レベルの教育を終えているとは言え、私が教師をしている学校に通っているのだから、「先生」という呼び方は間違ってないはず……しかし、そう考えてるのはこの場で私だけのようである。


「確かに。先生はお嬢様の結婚相手なのですから、先生とお呼びするのは間違ってますね」


「でしょう」


「しかし、それでは何とお呼びすべきか……ご主人様は、いずれお嬢様様が成人なされた正式に使う事になりますから……やはり……奥様でしょうか?」


ぶふぅ!!?私は飲んでいたコーンポタージュを思わず吹き出しそうになり、もったいないという思いで口に含んだ物を全部飲み込む。


「確かにそれが正しいわね。桔梗。これからは先生の事は奥様と呼びなさい」


「かしこまりました。お嬢様。奥様」


「いや!?かしこまらなくていいから!?普通に先生呼びでいいから!!?」


私は必死で相沢さんにそう訴えたが、聞き入れてもらえず、結果私は相沢さんから「奥様」と呼ばれるようになってしまった。なんだかどんどん外堀が埋まってる気がするけど……とりあえず、聞きたい事を聞いてみる事にしよう。


「西園寺さんって相沢さんの他に幼馴染はいないのかしら?」


私は、ようやく2人に本題を聞き出す事にした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る