特別な人

作者 鏡由良

5

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★★★ Excellent!!!

主人公の三谷 葵(みたに まもる)は高校受験を目前に控えた中学三年生。
葵は双子の兄で大人びた『かっこいい』茂斗とは違い、まだあとげなさをたっぷりと残した『可愛い』少年である。

ある日、葵は幼馴染で兄のような存在の来須 虎(くるす とら)に恋をしていることに気がついた。
しかし――。

本作は決して『楽園』の中で育まれる愛の物語ではない。
強盗、性被害、売春、不穏な噂、暴力などなど……。
物語のそこかしこに仕掛けられた落とし穴を避けながら葵は一生懸命生きている。
傷口に塗りたくられた蜂蜜を舐めるように、いつ『そこ』に触れるかわからない緊張感の中で見せられるじれったい愛はゆっくりと育っていく。

本作はこのレビューを書いた時点で二百話以上、文字数四十万以上が公開済みの長編である。現在も連載中だ。
読者である私たちがこの物語の結末を知ることはできない。
是非、手に汗を握りながら葵を見守ってほしい。
尊い愛がそこにある。

生まれてから死ぬまでの間に一度は記憶に刻んでおきたい小説だ。


余談だが、葵が精通を迎える話はこの物語を楽しむ上で『必読』だと私は思う(勿論、読まなくて良い話など一つもない)。
苦悩する葵をそっと見守ってほしい。