失った声

また、どれだけ泣いていたんだろうか

結局私は学校を休むことにした

泣きすぎたせいか声はガラガラで

とても人と話せる声ではなかった


「こんな醜い私の声なんて壊れて当然

こんな醜い私の声なんて出せなくなってあたりまえ

こんな醜い私なんていなくなっても変わらない」


そう私はガラガラでどうしようもない声で絶叫した


喉は余計に痛みを持ちだした



でも、それすらも気にならないほどに

悲しみ、苦しみ

といった哀の感情

消えたい、死にたい

という希死念慮や自殺願望に近い感情

を心の底から持った


だから、

私は

小さく光を反射するナイフを自分の喉に向け

押し込んだ



溢れ零れる赤、冷えていく体


段々と

流れ出していく血と体温

そして、私を責めるような痛み



刻一刻と薄れていく意識の中

流れる血と共に幸せだったあの時を観た


君と笑った帰り道

君の隣で観た映画

君と歌ったあの歌


思い出したのは全て君と一緒にいた時間の記憶

もう唇と喉に力を入れられない…



ありがとう…こんな醜い私を短い間だったけどそばに置いてくれて

今までもこれからもずっと君のことを愛してます


その言葉と涙を浮かべながら

私は意識と命を手放した

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