第4話 宮上 想史
ヌーファスは言った。
「旅に出ることはゆるさぬ」
ネリは必死になった。
「おとうさんなんでですか!」
「それがわからぬお前ではなかろう、お前はこの領主ヌーファスの子、おいそれを危険な場所にいってもらってはこまる」
「知るもんか!」
ネリは椅子から立ち上がって部屋から飛び出した。
夜の森を明かりももたずに走っていた。
いつもそうだ、なにかと言えば、領主の息子、息子、息子。
僕は領主になりたくて生まれてきたんじゃない。
やりたくないことを、やらされて、息苦しいたらないよ。
ネリは今の里の生活にうんざりしていた。
いつもの湖についた。
星が湖面に映っていた。
岸辺ちかくの丸太にこしかける。
後ろの草が踏まれるおとが聞こえた。
「なにしにきたんだよ」
「一人で泣いてるのかなあ、って思って」
「泣いてるわけないだろ」
「強がりね」
「うるせえ」
アンはネリの隣に座った。
「しょうがないじゃない、あなたには立場ってものがあるのよ」
「いらないよそんな立場なんて」
「あたしにも立場がある、使用人の家に生まれたって立場が」
「関係ないねそんなこと」
「いくら、あたしがあなたのことを好きになっても、あたしはあなたと一緒になれない」
ネリは黙ったまま、みなもに映った星をながめていた。
「膝かしてくれる?」
ネリはアンの返答を待たずに頭をアンのひざにのせてしばらくそのままでいた。
飛空艇に炎があがっていた。
「ハーシェル様、帝国兵のやつらの強さ尋常ではありません!」
「斬っても、斬っても立ち上がってくる、まるで傀儡のようだな」
ガリ、と剣と剣をあわせてから相手を押しのけハーシェルは帝国兵の腕を切り飛ばした。
上を見ると、ドラゴンが数頭飛空艇の上空を飛び回っている。
「くそ、あのドラゴンどもがやっかいだな、消火してもきりがねえぜ」
「オラアア!」
ハーシェルは落ちていた、帝国兵の剣を掴んで、上空のドラゴンに投げた。
剣があたったドラゴンはハーシェルめがけて下降してくる。
ハーシェルは、ドラゴンを切り裂いた。
「後、三体……」
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