回し書き、保存用 これまでのお話
宮上 想史
第1話 宮上想史
これは世界にまだドラゴンという名の生き物がいた頃、の昔、昔の物語。
波紋が広がっていた。
体を巡っていくように。
血液が循環するかのように。
水をただよっている。
湖の中をさす光が魚の影を映す。
バシャン!
ネリは起き上がって木の方へ向かう。
タオルで体をふいていると、幼なじみのアンが木陰から顔をのぞかせた。
「なにちんこ立ててんのよ」
ネリはパッとタオルで股間を隠す。
「みないでよエッチ!」
「男の台詞それ?」
「うるさいなあ、なにしにきたんだよ」
「ガルムおじさんが帰ってきたって知らせにきたの」
「え!ほんとに、早く言ってよ」
「早く着替えなさいよ、そのちっちゃいのも早くしまいなさい」
「わかったよ!」
二人は森の道を歩いていた。
木の枝に黄色い毛に覆われて、羽の先端を朱くした鳥がとまってさえずっている。
「ガルムおじさん帰って来るの一年ぶりくらいだね」
「そうね、お土産なにもってきてくれてるのかしら楽しみね」
「僕は、お土産よりおじさんの話が聞きたいよ、今度はどこにいってたんだろう」
二人は急ぎ足で帰っていく。
里に帰って、ネリの屋敷の玄関の扉を開けて中に入るやネリは応接間に一直線に向かった。
「おじさん!」
「おお、ネリおおきくなったな」
ネリはガルムと抱擁を交わす。
「話きかせてよ」
「おお、夜になったら聞かせてやろう」
「ええ、待てないよ」
「まあ、まてまて、お前のお父さんと話さないといけないことがあるからな」
アンがガルムにすり寄る。
手を組んで肩を揺らす。
「おじさまあ、お土産どこかしら」
上目遣いで見てくる、あんを見てガルムはアンか綺麗になったなあといいながら、懐からなにやら奇妙な首飾りをだした。
鎖に、平たい石がついているだけだが、なにか魚の鱗のような輝きを放っていた。
「なにこれえ、いらないんだけど」
「まあ、まてまてこれは異国王から貰った古いお守りだ、お前に加護あるように、きっとこれがお前を守ってくれる」
あんは微妙な顔をしながらお礼を言った。
ガルムとネリの父ヌーファスの会話
「戦争が始まるようだ」
「どことどこだ」
「大国スキプと帝国ガラシャだ」
「スキプとやり合ってガラシャが勝てるわけがなかろう」
「いや、今ガラシャには魔道士ノバという者がいるのだがそいつがなにやらくせ者らしくてな、古の魔法を使えるらしい。その者がガラシャについたとたん帝国は近隣諸国の領土を奪おうとやっきになっているというわけさ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます