帰り道

主露

帰り道 1 前編

3人で歩いて帰るのが数ヶ月前から普通になっていた。と言うか普通にした。俺は別にもっと近道する事が出来た。だがしなかった。こいつらと話すために。

俺らは兵庫県藪市立屋岡中学に通っていた。よくある公立の中学だ。だが、最近近くの中学と統合されて、校舎が立て替えられ、以前より綺麗になった。

俺は中学生の頃 、正確には中三のとき、よく友達2人と帰った。

1人は片山 大地 通称団長もう1人は、岸 信介、通称きっしー。別称変態。

全員違うクラス。一緒に遊んだことも無い。だが、何故か秋頃から一緒に帰るようになった。

よく3人でくだらない話をしたものだ。

例えば?たとえば…


「なあ?」

俺は橋の上を歩きながら両隣にいる友達に話しかけた。

「なに?何か見つけたんか?」

背の高い少年、片山大地が特徴的なゆっくりな声で返す。

「いや何も。ただ、この但馬を王国とするなら何処を首都にする?」

俺はよく分からんお題を出す。気にするないつもの事だ。アマゾンより広い心で受け流すなり、焼き消すなりしてくれ。

因みに但馬というのはこの地域の旧国名だ。

兵庫県北部あたりの事だ。分かりやすく言うと、そだな、爺さんくらいのやつや小説読みまくる奴なら分かると思うが、小説の神様こと志賀直哉の「城の崎にて」の城崎のある当たりだ。

東には中国山地。南も中国山地(だったはず…)。北は日本海。東も山と言う三方を山に囲まれた地形である。てかほぼ山。地形図見てみ!ほぼ山だ。但馬は山です。はい。

まあ、そんな但馬の首都を何処にするか考えてみようと思いついてしまったのだ。何故かは聞いてくれるな。俺にもわからんから…

「そうだな、薮市薮町かな?」

岸 信介、通称きっしーが丁寧に答える。

薮市藪町は、南但馬にある。

「何故なのだい?きっしー?」

「そうだな。うーん。近えから。ここから。」

まじかよ。

理由、テキトーすぎん?

「もっとなんかねえのかよ。」

「市役所があってだいたい但馬の中心。」

「なるほど。なら但馬を除く日本を攻めるなら東西南北何処から攻める?」

また、意味不明な質問をする。なんでかって?そんなもん知らん!

「但馬一国VS日本かー。おもろいな!」

そうきっしーは、声をあげた。

我らが大地団長は、ニコニコしながら傍観している。

俺は思った。こいつらこええ。(他人事)

「戦うことなんて無いやろ。」

と少し笑い気味に大地が言う。

「まあ、戦うと、仮定してくれ。まず何処を攻める。因みにこっちの首都は、薮だ。兵士の数や武器は考えないものとする。」

橋を渡り終え信号まで来た。

(この信号が青に変わるまで待とう。)

と、思ったがきっしーはそれよりも早く回答した。

「俺だったらまず南かな。」

ほう。南か。南に行くと神戸、姫路、四国

だな。

「簡単に言うと日本を割る。」

青になったので進みながら話す。

なんか物騒な事言った気がするが無視しろ。

「南を攻めて日本列島を北から南へ一直線にぶった斬る。そして東西の連携をやりにくくする。それに、瀬戸内海があるやん。」

「「ほう。」」

団長と俺は聞き入る。

「海の覇権を取るのも良いかと。まあ、相手側の物資の流通が上手くいかなさそうでいいと思うんやけど。あと神戸港取れるのが良い。」

「なるほどな。」

(連携と流通を崩す作戦か)

「俺も、やるんやったら南か東だ。」

「お前も?」

大地が驚く。

「まず、京都か神戸・姫路を取る。新幹線や高速道路が通ってるから。あと南は本州四国連絡橋の1つ明石海峡大橋があるのがでかいと思う。」

「なるほどな、そこが取れたら次は何処行くんだよ」

大地鋭い。

「鳥取・岡山その次に大阪・徳島だ。」

「大阪は大きいよ。」

きっしーが補足する。

「それと俺も鳥取は早めにとるわ。」

「あ!隣だからか私かに隣取っといたら一安心やな。」

大地は納得したようだ。

「将棋みたいに固めたら安心感ある。」

もう暫くこの話は続く。

「鳥取は、不可欠だ。」

きっしーに、同意!

だが、俺はあえてこれを付け足す。

「兵庫の盾役としてね。」

「ひでぇ!」

大地は1人突っ込んだ。


もう暫くこの話は続く。



今のうちに謝る。

鳥取県民の皆様すみませんでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る