第138話 嫁への説明

「お帰りなさいませ、旦那様」


屋敷に戻ると、タイミングが良かったのかサーシャが出迎えてくれる。


妊娠中なので、無理はしなくて良いと言ってるのだけど、ここ最近は体調も落ち着いてきてるようなのでその辺は凄く良かったと思う。


三度目の出産で慣れてきているというのも無くはないかもだけど、それでも新しい命を宿して生み出す女性の凄さには心底尊敬するし、大変なサーシャをサポート出来るので役得とも言えた。


それにしても……こうして奥さんにお出迎えされると凄く帰ってきたと実感出来てホッとするし、まだまだ新婚気分になれるのだから俺のサーシャへの想いに限りないのだろうとも思えてしまうのだから不思議だ。


「ただいま、サーシャ。体調は大丈夫かい?」

「はい、大丈夫です」

「なら良かった」


サーシャとローリエの全てを見通す俺の神眼(厨二病っぽく言っただけで二人限定の観察眼)で見る限りでも、サーシャが無理をしてる様子もないし、タイミング良く帰宅出来たようで良かったよ。


「お母様、ただいま戻りました!」


そんな事を思っていると、ローリエがサーシャに抱きつく。


母親への甘えがあるそれは、俺の時とは少し違うけど母親モードでローリエを抱きとめるサーシャもお母さんに甘えるローリエも尊すぎてヤバい。


「お帰りなさい、ローリエ。楽しめましたか?」

「はい!凄く楽しかったです!」

「そうですか、なら良かったです」


あぁ、そうか……ここがエデンか。


銀髪の美人母娘が微笑ましいやり取りをしているのを見てると本日の疲れが吹き飛ぶのだから凄まじい癒しだ。


人目が少ないから、普段のお姉さんぶる様子のローリエがお母さんに素直に甘えられてるし、そんなローリエを愛おしそうに微笑むお母さんモードのサーシャもまた最高すぎた。


「あら?そちらの子は初めて見ますね」


そうしてローリエとサーシャと家族のやり取りをしてから、サーシャがふと後ろにいたアカリを発見して首を傾げる。


「ああ、今日から引き取ることになったんだよ。ローリエの侍女にどうかと思ってね」


目と目で一瞬のアイコンタクトをする。


無論、隠し子なんて事は有り得ず、事情があって引き取ったと告げると伝わったようで微笑むサーシャ。


「そうでしたか……可愛らしい子ですね」

「初めまして〜、ローリエ様のお母様ですね〜。アカリと申します〜」

「サーシャです。ローリエのことよろしくお願いしますね」


一瞬のアイコンタクトでほぼ全て、思ってることが伝わる……心底サーシャと繋がってる実感が持てて最高に素晴らしい瞬間だけど、言葉にしてサーシャを愛でるのも良いので悩ましいところ。


まあ、両方すればいいよね。







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