第136話 帰るまではお忍び
アカリを引き取る話は割とすんなりと済んで、まずは本日の護衛対象を家に返すことにする。
陛下への報告もしなければならないけど、その前に子供たちを無事に送り届けるのも大切なのでまずはセレナ様とセリュー様を王城へと送り届けた。
「フォール公爵、今日は楽しかったですわ。またお忍びの時はよろしくお願いしますね」
含みのある笑みを浮かべてそんな事を言う王女様。
まあ、この人が何を考えてるのかは不明だけど、とりあえず協力出来るようなら今度の件では多少、手を借りることもあるかもだけど……あんまり気は進まないんだよなぁ。
必要な事だと分かってはいるし、家族を守るためにならどんな相手でも利用できるならするけど、やはり同じ転生者で、何かと見抜いてそうな相手なので苦手なのかもしれない。
まあ、ローリエとは良き友人のようだし、関わらない選択肢がないのなら仕方ない。
「ええ、是非ともまたお供させて頂きます。セリュー様も、最後は少し慌ただしくなりましたが、城下の事を少しでも参考にして頂けたなら幸いです」
「はい!凄く勉強になりました!」
姉とは反対に相変わらずキラキラした瞳を向けてくるセリュー様だけど、そんな目で見られることは何もしてない自覚があるので何ともむず痒い。
「僕ももっと頑張ります!フォール公爵、明日からも是非ともご指導よろしくお願いします!」
やる気満々なご様子だけど、何がそこまでセリュー様をやる気にさせているのやら……何にしても、今日一日親子という設定で付き合ってみた感想としては、根は素直で真面目な子なのだろうと思った。
ゲームではその辺が屈折したのかもしれないけど、この様子なら好青年に育って、良き王になれるかもしれないなぁとも思えるけど、その辺はこれからの頑張り次第かな?
何にしても、このまま育つならローリエを任せても……いや、ごめん、それはやはりまだ考えたくないかも。
普通にやはり愛娘を嫁に出すのは親として思う所があるので、素直には頷けないけど、ローリエが嫌でないのならそれでローリエが幸せになるなら、セリュー様に任せてもいい気はほんの少ししてくる。
まあ、それはおいおいとして、今は他の厄介事を処理しないとな。
「ローリエさん、今度は女騎士さんを連れて女の子同士でも出掛けましょうか」
「えっと……」
チラッと見てくるローリエに優しく頷くと嬉しそうにセレナ様の提案に頷くローリエ。
まあ、もし実現したら、当日は精鋭を増やして万全な警備をしておくことにしよう。
「楽しみね、ローリエさん」
「はい!」
ニコニコなローリエが凄く可愛い。
うちの娘は世界一だな!
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