第127話 何を着ても可愛い愛娘
「お父様、どうでしょうか?」
そう言いながら、シンプルなデザインの服を着こなしてみせる我が娘ローリエ。
町娘スタイルも究極に似合うが、何を着ても可愛いのがウチの愛娘ローリエである。
実に可愛いが圧倒的な感想だが、それだけを言うこともなく俺は自然な笑みを浮かべて言った。
「うん、よく似合ってるよ。やっぱりローリエはシンプルな服でも映えるね」
「えへへ……」
素材の良さを活かしており、実にキュートだと言えば何とも嬉しそうな笑みを浮かべてくれるローリエ。
「お父様、私はどうかしら?」
うむ、やはりうちの娘は可愛いなぁと見守っていると、王女様が俺に尋ねてくる。
あまり興味無いですが本音ではあるが、そんな事を言う訳にもいかずそのまま思った通りの感想を述べる。
「似合ってるけど……普通の服よりもドレスとかの方が似合ってるかもね」
「ふふ、ありがとうございます」
……うーむ、この王女様と親子設定とか違和感がバリバリ過ぎるが、気にしたら負けなのかな。
「セリューはどう?ローリエさんを見て何か思う?」
「えっと……とても似合ってます」
実にシンプルながら俺好みの回答をするセリュー様。
本心なのだろうが、そこには恋愛のような色があまり見受けなれないことには親として安心するべきか、婚約者候補として思う所があるべきなのか……まあ、前者かな?
セレナ様も同じような感想なのか、少しだけ残念そうではあったが……なんだろう、弟と友達をくっ付けたいのだろうか?
「よし、とりあえず良さそうなのは買ってこうか。勿論、セレナとセリューの分もね」
ローリエの頭を撫でて、可愛い成分を補充しつつもさり気なく会計をする旨を伝えておく。
不本意でも、親子設定のお忍びなので俺が出すのが自然なのだ。
「そうですね、ありがとうございますお父様」
「あ、ありがとうございます……」
その辺の事情を当たり前ながら分かっているセレナ様と、流石というか空気の読めるらしいセリュー様に了解を貰って、ローリエの分とまとてめ支払う。
無駄遣いは好きではないが、嫁や娘の欲しいものを買うのは凄く楽しい。
特に、物欲の少ない2人はあまり欲しがらないので、こうして俺からアプローチする必要があるのだ。
今日のは、町娘スタイルのお忍び用だが、そのうちまたお忍びするかもしれないので買っておくに限る。
「お父様」
会計を終えて、頼んだ分は後日届けるよう手配もした後でローリエがこっそりと耳打ちするように小さな声で囁いた。
「家族皆もいいけど……今度はお父様と2人でも来たいです」
「……うん、勿論だよ」
うちの娘はワガママを言わないいい子なので、この可愛いワガママは聞くべきなのだ。
にしても……ローリエが年々母親譲りの魔性の魅力が発現してきてる件について。
まあ、どんな娘でも俺にとっては可愛い愛娘なので、愛でることには変わりないけどね。
うむ、やっぱり今日は来てよかったよ。
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