第36話 日常への帰還

「おとうさま!」


屋敷に帰るとローリエが出迎えてくれた。

無邪気にこちらに抱っこを要求してくるローリエに俺は先ほどまでの一連の出来事を忘れて思わず緩みそうになる表情をなんとか抑えて優しくローリエを抱き上げた。


「ただいまローリエ」

「おかえりなさいおとうさま!」


ニコニコ顔でそう言ってくる我が家のエンジェル……うん!やっぱり家の娘が可愛すぎる!

まあ、もちろんそんなことは口にはせず、表情もあくまで穏やかに抑えて俺はローリエに聞いた。


「ずいぶんタイミングがよかったけど……もしかして待っていてくれたのかな?」

「はい!おとうさまにはやくあいたくて……だめだった?」


ごふ!吐血しそうになるくらいに強烈な一撃が俺に突き刺さる。先ほどの賊との戦闘ではかすり傷ひとつつかなかったのに、幼い我が愛しの娘の言葉にこれほどまでにやられるとは……やっぱりローリエとサーシャは俺を萌え殺す術を自然体で身につけておいでか!


まあ、ローリエは娘だから理性的にはセーフなんだけど……サーシャの場合はもし妊娠中じゃなければ簡単にオオカミさんに変身して、ローリエの弟、妹の量産に入ってしまうことは必然だろう。


「さて……とりあえず私はサーシャに帰還の報告をするから行くが……ローリエはどうする?」

「おとうさまといっしょがいいです!」

「そうか……じゃあ、このまま抱っこしていくけどいいかな?」

「はい!」


満開の笑顔……あぁ……この笑顔を見れただけでも今日一日の疲れが無駄じゃなかったと思えるよ……


もうね、サーシャとローリエだけが俺の心を浄化してくれる存在……天使や女神じゃ物足りないこの気持ちどうにか言葉にしたいが、俺の語彙力では絶対に表現出来ないのが悔しいところだ。うん、俺は絶対小説家にはなれないという確信があるよ。


何を書いてもサーシャとローリエに結びついてしまいそうだしね。現に今も抱っこしてるローリエが本当に可愛くて仕方ない。


「えへへ……おとうさま、すりすり」


……ふぁー!?見ましたか!俺に可愛らしく頬擦りしてくる愛娘の姿を!なんか控えめながもこうしてスキンシップしてくる愛娘が本気で可愛くて仕方ないよ。いやマジで。


前なら遠慮してしなかっただろうけど、ここ最近になって一気に縮まった距離に嬉しくなる。


そんな風に可愛すぎる娘を抱っこしながら俺は愛する妻がいるであろう部屋へと向かったのだった。


やはり俺のオアシスは娘と嫁だけだな!





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る