2 - 栗色の髪
あ…。
彼女だ。
「出席番号2番、朝比奈 美優です。中学は林向中学を出ていてテニスクラブに入っていました。よろしくお願いします。」
朝比奈美優と名乗った彼女は自己紹介が終わり席に座る。
窓側にいる彼女。透き通った栗色の髪が陽に照らされ金色の栗色に光っている。その栗色のしなやかな髪を背に、机に肘を置き、手に顎を乗せ須藤先生の方を見ている。凛とした彼女の横顔はやはりきれいだ。僕はその姿に見惚れていた。
「―…陰。…日陰~!」
「…はっ!はいっ!?」
しまった!彼女に見とれていて自分の番が来ていることをすっかり気づいていなかった。
そして僕が見ていた彼女と目が合った。
「日陰学だな?なーに初日からボーっとしてんだー、自己紹介お前の番だぞ?」
「えっ?あっすいません!え、えっと、僕は日陰学です!陰洋中学校からきました、よ、よろしくお願いします。趣味は演劇を見にいくこと…です。」
須藤が先に拍手をし、みんなも続いて少しばかりの拍手を送られ僕は座り直す。
「はい、あんまりボーっとしてると今度はデコピンするから気を付けるようにな~。次、保立…―――」
…少し緊張したからか座って次の人にみんなの視線が向かった瞬間安堵の息が漏れた。もう一度彼女の方を見るとそんな僕を見ていたのかクスクスと笑っていた。
笑っている朝比奈さんの顔、すごく可愛いな…。
その顔にまた見とれていると彼女と視線が合った。彼女は笑っている自分の顔を見られた恥ずかしさなのか、さっきのパンツを見られたことを思い出したか少し驚いた顔をした後僕を少し睨みフンッ!と前へと向き直した。
やはりそんないいようには思われていないのだろうか、僕は少し落ち込みながら先生がいる前へと向き直す。
「ではみんなには出席番号順に席に座ってもらったがこんな堅苦しい空気だ。今から席替えをしてもらう!」
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