2章 斜め後ろ

1 - 廊下側の席

入学式を終え、自分を振り分けられたクラスに向かう。

1-A。僕のクラスだ。席は出席番号順。中学同様自然と廊下側の席になる。時間も挨拶予定時間に近づき、わらわらと席に人が揃いはじめる。


中学校時代の友人はバラバラになり僕のことを知っている人は中学校時代にそんなに会話を交えていない元クラスメイトくらいだろう。幸か不幸かこのクラスには元クラスメイトもいない。要はぼっちだ。これからまた最低限の友達を作らなきゃならないのか…。


ガラッ


そんなことを考えていると生徒ではない男性が入ってきた。


「はーい、みんな席についてるなー?俺は今日からお前たちの担任になる、須藤明すどうあきらだ。歳は27歳で去年から担任を受け持つことができた、要はまだまだ新米教師だ!もし何か気づいたことがあったらどんどん教えてくれ!趣味はモ〇ストとドライブだ!気軽に接してくれ!よろしくな!」


これから担任となる先生は30代を前にした男性とは思えない程の若々しく爽やかな先生だ。そんな先生に毎年いる彼氏彼女事情を聞くやつがいる。


「須藤せんせー、彼女はいるんスかー?」


ほらやっぱり。


「おー?去年も聞かれたなー、実は…先生には婚約中の相手がいる!」


『おぉ~~~!!!』


盛り上がる男女共の歓声。そのままみんなは質問タイムにはいって自己紹介が始まる。

特に聞く気はない僕は眠そうにしながらふと窓側を見る。

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