1章 桜舞う入学式

1 - 桜が舞い起こした出会い

「ここかぁ…!」


四月の春、僕は今

陽光高校にいる。


周りにはキラキラとした新品のブレザーを着て入学式が行われる体育館の入り口を探す人や旧友だろう人と写真を撮ってキャッキャしている人、同じ学年になるだろう新入生。

中には制服を着慣れ新入生達としゃべり始めている、これから先輩になる在学生たちもいる。


これからお世話になる高校を見回していた中、僕の隣に桜が舞った。そして桜が舞う中初めて彼女の姿を見た。

凛とした少し釣り目の目、そして桜と一緒に風に流されるきれいな栗色をした長い髪が横切る。


――きれいだ。


一瞬にしてそう思った。いや、口にだしてしまっていたかもしれない。

ちいさく鼓動がトクンとなる。


そう思っていた瞬間だった。急にビュアッと風が強くなった。


彼女の周りを舞っていた桜が上へと急上昇した。それと一緒に彼女の着ていた布も上へと持ち上がる。


「―きゃっ!」


「ぅわっ!…あ。」


彼女に見とれていた僕は、腕で風を受け流しつつも片目で彼女をみていた。

僕は彼女の着ていた布の下にあった見慣れないに釘付けになっていたんだ。


―――…白のレースにピンクのストライプ柄。


ふと視線を彼女の顔に向ける。

彼女と目が合う。


「あ……ッ…!」


彼女が自分のスカートが風でがめくれていることに気づき、それを見ていた僕を赤面した顔で鋭く睨む。


「あっ、いや、ここ、これは…!」


僕は慌てて、これは風の偶然で!と伝えようとしたが初めて生身の女性が履いているパンツを直視したことに動揺を隠せずうまく言葉が出ない。

そしてそのまま動揺している僕を睨んでいた彼女は赤面したまま風で乱れたスカートを直し、

もう一度僕を鋭く睨むとフンッ!と彼女の進んでいた方向へと足早に行ってしまった。


―…彼女が行った後、動揺をしていた僕は少し落ち着きを戻し、入学式が行われる体育館へと向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る