接点。
懐かしいなぁ...。今は一目惚れするほど人と関わらないけど、あの松本さんとの出会いがあったから中学校生活が本当に楽しかった。クラスが一緒の時は無意識のうちに目で追ってしまってたっけ。今は何をしてるんだろう。
「はい。それでは皆さん。これから1年間よろしくお願いします。それでは今から今後のことを説明します。」
と、宮井先生が言っているが、俺には何も聞こえない。
マツモトさん。
ひたすらに忘れないように、繰り返していたら、
「リョウ!」
と、突然ソウが話しかけてきた。
「何ぼーっとしてんだよ。どこ行くか決めた?」
「え。あ、悪い。何も聞いてなかった。」
「お前、時々抜けてるよなぁ。まぁいいや、部活。今から見学しに行くんだよ。俺はサッカー。お前は?」
「あー。適当になんか見に行くよ。」
あっぶねー!マツモトさん見てたのバレてない!よかったー!!
「へー。珍しいな。お前の事だから帰る、とか言うと思ってた。ならバスケとか見にいけよ。バレー部にモテるらしいぜ。じゃ、俺は行くからまた明日なー。」
と、言って校庭に向かうソウに俺は
「おう。また明日なー。」
と、だけ言った。
.....バレてないよな。きっと。たぶん...。
実際これといってやりたいものもなかった俺は、体育館に向かった。すると、
「あ、イノウエくんだっけ?」
と、話しかけてきたのは全く知らない男だった。
ごめん、誰?とは言えず、
「あ、そうだよー。」
とだけ返すと、
「俺、同じクラスの吉岡 俊。何部に入るの?」
と、察してくれたのか名乗ってくれた。
「まだ決めてないんだよねー。バレーかバスケかで悩んでるんだー。」
実際悩んでいた。バレーなら共通点が持てる。だけど、ソウの一言が脳裏によぎる。
【バスケ部ってバレー部にモテる】
すると、ヨシオカくんが
「ならバスケ部入ろうよ。俺も入りたいけど知り合いいないから入りにくいんだ。」
と言ってきた。
「そうだねー。どうしようかなー。」
と、俺が言った瞬間、後ろから、女子バレー部の話す声に交じってマツモトさんの声がした。
「バスケ部の人かっこいいよねー!」
「ヨシオカくん。俺バスケ部入る。」
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