歌集 -Twitterにおける雑多韻文集-

南 美桜

霜月 - 壱 (2019)

(短歌)


1Rぽっちの狭い世界ではロープを吊るすに足る場さえない


君がいた世界はとうに終わったの 未だ傷癒えぬ 八年目 冬


去りし日の夕日とテールランプとか サイレンの音が甦る夜


私とは 綺麗に言語化できなくて偽っている自己PR


春先によく見た黒い馬の尾は明るい道に出たのでしょうか


行間のない短歌なら少しだけ呼吸がうまくできる気がする


ハリボテの中は空洞そんなこと分かっていながら塗装重ねる


公園が狭くてビルが高いとか 外野のノックはフライなしとか


五日目の努力と疲労を乗せている 枕についたファンデーションが


グラスにはビー玉ひとつ潜んでる 沈めた私だけが知ってる


そう思うだけど行動違うから 適性検査が答えられない


寒空の下 ベランダのアルミ柵 手をかけ我に返る朝4時


悩んだり立ち止まったりするけれど五つ数えて走り出す僕


また今日も環状線に揺られてる知識で心だけ旅行中



(俳句)


午前五時 全てを流す 小夜時雨



(都々逸)


数年ぶりにパンプスを履く 紺に反発乗せてみる


今日も今日とて枕を濡らす 想いの先は雲の上

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