ボーデンは、現場にいるバルトのことを想像する。


「そうなのよ。一応、部下を置いては来たけど、それでも心配なのよね」


「貴方も大変ね。早めにあの男から自立する事をお勧めするわ。でも、魔法使いではない普通の人間である貴方では、最高でも大佐までと思うけど……」


(お前、なんでそんなに軍の事情に詳しいんだよ……)


 ボーデンはラミアを見て、苦笑いをする。


「そうね。それじゃあ、今後の旅の無事を祈っているわ。少佐には、事情を全て報告しておきますから……」


「お願いします」


 そう言い残して、エルザは元来た道を再び車を飛ばして行った。


 ここで一度、立ち止まるのは仕方がないが、魔法師にとっては、1日でも早く、研究をしたいのは正直なところ、本気である。


「さて、明日の出発のために宿でも探すとするか」


「そうね。だったら結構高い宿でもいいんじゃないかしら? どうせ軍の方からお金を貰うことができるんでしょ?」


「おい、それは冗談が過ぎるだろ?」


「あら、私が冗談を言うとでも?」


「いや、言うわけがないな。その目は本気の目だ!」


 冗談で笑うラミアを見て、ボーデンは叫ぶ。


「ふふふっ……」


「悪魔め……」


 二人は宿を見つけるべく、街中を歩く。

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