第6話 浩太、劣等感芽生える
月曜日の朝、クラスのみんなから同じ言葉を聞かされた
(おい浩太、オタクの彼女さんは芸能界デビューやんけ、お主はただの高校生やんけ)
(カッコいい俳優いっぱいいるぞぉ、大丈夫かっ)
分かっとる、考えないようにしていたがわかっておる。咲と会えなくなるのも残念だが、芸能界は格好良い人がいっぱいいるから不安すぎる。僕はこんなに冴えないのに。
学校の帰り
(浩太、元気なくない?お腹痛い?)
咲の前では元気でいなければ、決して不安を見せてはいけない
(そうそう、お腹痛くては、今日はすぐ帰るよ)
(やっぱね、辛くなったらいつでも電話してね)
(ありがとう)
優しくしてもらっても、いつかきっと格好良い俳優さんのところに行くんだ。いつもなら嬉しいのに、今日は何だか落ち込む。まずお腹も痛くない。何て僕は根暗なんだ。
夜もずっと同じことを考えていた。この不安をどう払拭すればいいんだ。そんなとき、お兄ちゃんが隣で電話してる声が聞こえた
(俺はまだ20歳だぜ、これから何にでもなれるっつーの!はっはっは!総理大臣なってべっぴんさんと付き合うっつーの)
うるさいなぁ、どうしてこんな兄ちゃんは自信満々なんだ。総理大臣ね、誰もにいちゃんに投票しないだろうな。べっぴんさんね、たしかに総理大臣になれればねぇ。ん?総理大臣なれば、咲に相応しい男に、アイドルと付き合う男としては100店満点だな。この短絡過ぎる発想に、やはり兄と同じ血を受け継いでいるなと感じた夜だった。
まさか、この時の発想が僕の人生を変えるとは、この時は思いもしなかった
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