手紙 クッキーがほしかった

妻へ

こんな形で、手紙を送ることになるとは、思ってなかったよ。

子供、子育ての事は全てお前に任していて、申し訳なかった。

今日、自分の部屋をお袋が片付けをしているところを見て、新婚旅行の写真を見つけてな。

(幽霊になって、部屋をうろついていただけなんだがな)

あの時は、こうなるとは思ってなかったな…

あの子がいなかったら、こうはならなかったのであろうか。

そう思うことも多かったな。

まさか、クッキーを食べようとするとは思わなかった。

どういう躾をしていたんだ。とあの時はカッとなって言ってしまったが、私は何もしていないから、何も言えないな。

お前が鈍器を持った夜。

その目、その声、その顔。

久しぶりにしっかりと目を合わせた気がしたよ。

あの子のママ、とお父さんという呼び方の違いは顔を見て話していなかった…いや、まともに会ってさえいなかったからだろうか。

色々、思うことはあるが、全て手遅れだな。

来世が私に有るのならば、次はお前を絶対幸せにする。

今までありがとう。

愛しい妻よ。

夫より 12月18日

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