第7話 夢幻




愛しい人の手をしっかりと離さぬように握りしめて、駆け出していく。


青空の下、どこか知らないところへ。


誰も追いつけないようなところへ。




そんな幻のような話が最近頭の中を過る。


何故かは分かっているけども私はまだ向き合う余裕も、勇気も何も無い。



結局は時間が解決するのではなく、自らが動き出すことでようやく物語は次のページが捲られる。最近はそう思う。



私は夢をほとんど見ない。見る時は見るのだが、普段は突き落とされるように眠りに落ちる。



だけど日中、夢幻のような話が頭の中を走っていく。私の望み、夢。

ぼうっとそれらを眺めながら、いつか、いつかは彼等を腕の中に抱きしめたいと願う。



いつ叶うかなんてわからないのに。

遠い遠い空を掴むような夢を、私はいつまで描くんだろうか。




不安を取り払って前に進む気力を無くさぬようにとは思うけれど、きっと私はまだ子供なんだろう。



おとなになりたい。

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