ヘビーでイカしたやつ

では、荷物を運ぼう。すると、課題があった。引っ越し先にはエレベーターがない。そして、私にはベッドと洗濯機等々、ヘビーでイカした家具たちがいたのであった。


ちょっと考えた。まず、小さく始めよう、軽いやつ。


ちょっと待った。小さく始めて、ヘビーな奴らが運べないとなればどうする。


そうな、じゃ、重い家具類から始めて、絶対無理、と早い段階で判断できれば業者に頼もう。そう考えた。


そして、まず洗濯機から運んだ。この時が一番きつかった。あの筐体にこれほどの重量感、想像を超えていた。運びきったが、もう業者に頼めばよかったと後悔し始める。しかし、もう洗濯機運んじゃったし、やるしかねえなと。


ベッドを運ぶ。想像を超えた重さ。完全に後悔する。でも、ここまで来たらやりきるしかないよね、と自分を励ます。


そして、本たちを運ぶ。これが一番きつい。本って、もはや木材を運んでるのと同義だなと思うくらいに重かった。そして、完全に消耗した私は。


「餅は餅屋」


そんな言葉が頭から離れなかった。サンクコストともいうが、もうお金払ったしやるしかねえ、的な、もはや撤退はない的な状況に自分がよく追い込まれることをつくづく思い知らされた。そして、なるほど、引き返すのは愚かではない。私は間違えた、この事実を認めて方向転換できるのは賢さであり、勇気であると思った。


引っ越しを終えるも、翌日は寝込むほど消耗してしまうのであった。

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