Let’sお引越し。カーシェアで…

雲田和夫

思い立ったが吉日

私は引っ越しをすることになった。

30キロもしない距離で、比較的近い。

どうしたものやら。


私は引っ越しが苦手だ。

引っ越しというのは、祭りだ。

あれは、非日常である。そして、相当消耗する。


私は引っ越しの終わったあと、どうすることもできずに残ったゴミを何とか処分すべく、遠路はるばる早朝に、引っ越し前の住処に行って、ごみ捨てカレンダー通り捨ててきた猛者である。その前に、ごみの集積場まで車で持参して、なんとか収集日以外で捨てられないか交渉するも断られるという、稀有な体験の持ち主でもある。


引っ越しはこのように詰めが甘いと後々辛酸をなめることになる。


まず、ウェブで引っ越し業者の有名どころで検索。するとやや高い気がしてしまう。なら、いわゆる比較サイトはどうだろうとちょっと検索してみると、本人確認の電話が入って、その後10社以上はあるだろう比較対象の会社から、メールではなく電話合戦の嵐。


めまいがした私は、そのうち見知らぬ着信を着信拒否するスキルを身に着ける。そして、「引っ越し業者に頼む」カテゴリ自体に幻滅してしまうのであった。


「そうだ。ペーパーだけと免許持ってたし、車で自分で運べばいいや。」


この発想、危険である。ペーパーが車を乗る、自分で運ぶ、ここには想像をはるかに超える試練が待っていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る