美少女転校生の妄想力が桁外れ過ぎてついていけない
筆箱鉛筆
私の妄想力は……
俺の妄想力は程度にして93。全人類の上位5%に入る。
最新の世界妄想力調査では世界平均が59、日本の平均で67.5。俺の90超えの妄想力ははっきり言ってエリートクラスだ。
「おい佐藤、お前の妄想スコアまた伸びてんじゃねぇか。どうなってんだ?」
「ふっ…… 俺の妄想力は凡人には理解不能な位置にあるのだよ」
隣の席の魔人が話しかけてきた。常にエロい妄想をしているエロ魔人だから魔神。本当はエロ魔人と呼ばれていたのだが、本人が嫌がって魔人だけで定着した。
「俺も妄想力90超えならもうちょっといい思いが出来んのになぁ」
「お前にゃ無理だ。まずは自分に左右する妄想すら具現化できんのだからな。包茎が治る妄想を一生続けるが良い」
「このやろうが……」
魔人が本当に悔しそうな顔でこちらを睨んできた。常にエロい事を考えている癖に自分が包茎なのがコンプレックスで妄想でも一線を超えられない奴が一丁前な事を言うからだ。
「おーほっほ。また庶民が低俗な話をしていますわね」
「うわでた……」
金髪。縦ロール。高飛車。高そうな服。
同じクラスのお嬢様が会話に割って入ってきた。
「自分がお嬢様になる妄想をし過ぎて常に金髪縦ロールお嬢様になる事に妄想力を費やしているヤベェ奴。今日は一段とキレキレだぜこいつは」
「魔人の分際でエラそうですわね。わたくしは貴方とは違って優秀な妄想力を持っていますの。嫉妬はやめて下さいます?」
「……本名山田花子の癖に」
「今何かおっしゃいましたか?ん?」
「人の近くでうるさいぞお前ら」
魔人とお嬢様がこうして言い争うのは珍しい事でもなく、同じクラスになってからはよく見る光景だが、近くでやられるのは鬱陶しい。勘弁してもらいたい。
「みんな静かにしろー」
そんなこんなで朝の時間を過ごすと、教室のドアが音を立てて開き、担任の教師が気の抜けるような声で生徒たちに呼び掛けながら入ってきた。因みに担任の妄想力は82。教職に求められる妄想力は高い為、中々の力を持っていると言って良い。
皆がバラバラと自分の机に着いたのを確認すると、担任は教卓に両手を付き、口を開いた。
「えー今日はみんなに転校生を紹介しようと思います」
教室が少しざわつく。前の方に座っている連中が、転校生が男か女かみたいな事を言うのもテンプレのうちか。
「じゃあ入ってきて、どうぞ」
──鈴の音がした。一歩踏み出す毎に軽く上下する銀髪。彼女の周りには何か粒子のようなものまで見える気がする。本当に、美しいとしか形容しようがない姿だった。
こんな衝撃を受けたのは初めてで、それぐらい目を奪われた。
「初めまして。
「それと」
だけどその感情は……
「私の妄想力は53万です」
その感情は、すぐに吹き飛んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます