見えない絆
勝利だギューちゃん
第1話
「また会おうね」
「うん、絶対だよ」
仲の良かった幼馴染の女の子がいた。
いつも、一緒だった。
まるで、姉弟のようだった。
高学年になると、普通は冷やかされるのだが、
いとこになっているので、それはなかった。
彼女との別れは、突然訪れた。
彼女のお父さんが、仕事で転勤をすることになった。
当然、家族もついていくわけで、彼女ともお別れとなった。
僕の事を実の息子のように、可愛がってくれた、おじさんとおばさん。
セカンドファザーと、セカンドマザー。
家族ぐるみの付き合いだったので、前の夜は、お別れ会を開いた。
ファーストファザーとファーストマザー、セカンドファザーとセカンドマザー。
そして僕と、彼女・・・
ふたりとも一人っ子。
それが、姉妹のような関係になった。
ちなみに同学年だが、彼女が4月2日生まれで、僕は3月31日生まれの早生まれ。
一年近く違うが、ギリで同学年となった。
親たちをよそに、僕は彼女と外へ出た。
「○○くん、長い間ありがとう」
「○○ちゃん、僕もだよ」
「サヨナラは言わないよ。また会えるって信じているから」
「僕もだよ」
プレゼント交換はもちろん、握手もしなかった。
もししてしまえば、もう会えない気がしたからだ・・・
翌朝、彼女一家は引っ越しをした。
両親はお見送りをしたようだが、僕はしなかった。
また会えると信じたかったからだ。
で、月日は周る。
それは、歳を重ねる事に、加速する。
僕も学校を卒業し、就職をし、結婚をし、子供が生まれ育て、子供が巣立ち、結婚をし、孫が出来た。
今は、長年連れ添った妻と、仲良く余生を送っている。
今、どこでどうしているのだろう?
嫌、思い出にひたるのはいいが、今の奥さんを大切にしよう。
「ねえ、あなた」
「どうした?かあさん」
【まだ、わかりませんか?】
見えない絆 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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