第15話 夏休み -練習-
夏休み
午前中に部活で汗を流し、午後はバイトでお金を稼ぎという形で過ぎていった。
部活は、3年の先輩方が、1年、2年に対してコーチを行う形で進められ、俺や清水は2年の北島先輩と一緒にセットプレイの種類や戦略上の動きなどを色々と教え込まれた。
正直ここまで考えてバスケをしたことはなかったので、話を聞いてて凄く面白いし何だか1ランク上に上がれた気もした。
「何だか凄く楽しいな 雪村先輩の講義」
「あぁ勉強になるし、色々気付かされることが多い」
「俺は一応去年も説明は受けたんだが、やっぱり雪村先輩の様に戦況に応じて
すべてのパターンから最適な指示出すのは難しいよ」
確かに北島先輩の言う通りだ。話を聞いて"なるほどな"と理解を深めることは出来てもそれを動きのある試合の中で活かせるかは別問題だ。
雪村先輩の様に振る舞うには、俺たちも戦況を冷静に見て取れる戦術眼は必要だな。
「あ、こんなところでサボってる」
村田だ。
女子バスケは全国大会に駒を進めたが、1回戦を突破したものの2回戦で敗退してしまった。恩田先輩がマークで封じられボール占有率が下がったのが大きな要因だ。やはり全国レベルの壁は厚い。
ということで、昨日から女子バスも通常の練習に戻っている。
「うるせ。サボってるんじゃなくて休憩だ」
「浩紀さん?後輩にサボり癖を付けるの良くないですよ?」
「うっ唯奈!いや 本当これは休憩でな。そろそろ戻ろうとは思ってたんだよ」
「そうですか。じゃあ早く戻って雪村先輩の穴を埋められるように頑張らな
くてはいけませんね」
吉川先輩だ。
ちょっときつそうな人で、傍から見てても温和な北島先輩は敵わなそうな人だ。
北島先輩とは付き合ってるのかはよくわからないけど一緒に居ることが多い。
噂では北島先輩と二人きりだとデレるって話だけど・・・
「おい、そろそろ練習に戻るぞ!」
「「は はい!」」
と慌てて体育館に北島先輩が戻って行ったので、俺と清水も後を追った。
「そういえば、お前村田と結構自然に話ししてたな」
「ん?俺は前から普通に話してたぞ。どちらかというと村田が突っかかって
来てた感じだから、さっきのもあんまり変わらなくないか?」
「う~ん。まぁそうなのかな。ただ、何というか村田の表情が前ほど刺々しく
なくなったというか。何かあったのか?」
「いや 別にないと思うけど。
強いて言えば村田の家の酒屋でバイト始めたんで顔合わせる機会が
増えた位かな」
うん。それがどうかしたか?ただのバイトだぞ。
「いや100%それだろ。話とかもするんだろ?」
「そりゃ仕事だしな。時々一緒に配達とかもするし」
「何か村田からアプローチとかないのか?」
「この間夕飯ご馳走になったな。ご両親も妙に俺に親切だし。
後は母さんに頼まれたから仕方なくとは言ってたけど昼飯も作ってくれたぞ」
「そ そうか・・・」(相変わらず村田のやつ拗らせてるな・・)
「何か変か?」
「いや 大丈夫だ。俺としては村田も福島も大切な友人だからな仲良くして
欲しいし幸せになってほしいと思ってる。
色々と面倒な女かもしれないけど大切にしてやってくれ!」
「え?あぁってなんだ大切って?」
「はぁ・・・・・」(こいつも結構な鈍感君だな・・・)
「おい清水、福島何やってる!早く練習戻るぞ!」
「「はい!すみません」」
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