あの日の思い出
ひろきち
第1話 出会い
俺の名前は福島太一。
名字は"福島"だけど、生まれは宮城県。杜の都仙台だ。
親父の仕事の都合で、この春に川野辺に引っ越してきた。
そして、この春から県内でも有数の進学校でもある川野辺高校に入学した。
正直勉強は好きな方じゃなかったけど、この高校は進学校であると同時にバスケの強豪校でもあったので、この地区に住むならこの高校と決めていたんだ。
-----------------------
4月。桜咲く中で行われた入学式。
俺は1年B組になった。
オリエンテーションの後、部活説明会があったけど、俺は最初からバスケ部に入ることを決めていたので、迷うことなくバスケ部の活動している新体育館へ向かった。この学校は体育館は2つあり、出来たばかりの新体育館はバスケコートが2面とれ観客席まである中々豪華なつくりだ。
そして、バスケ部はこの豪華な体育館で活動している。
「あの。1年B組の福島と言いますが、バスケ部に入部したいんですが」
と、壁際で練習を見ていた優しそうな男性に声を掛けた。
「ん?早速入部希望者?おい小宮面倒見てやってくれ」
「はい!雪村先輩」
小宮と呼ばれた多分2年生と思われる先輩が俺に近づいてきてくれたので、俺はあらためて自己紹介をした。
「1年B組の福島 太一です。よろしくお願いします」
「あぁよろしく。僕は小宮。2年だ。一応今日のところは僕らの練習を見てもらって、このバスケ部が自分にあっているか見極めて欲しい。結構練習も厳しいからね。
で、続けたいと思うようであれば次の練習であらためて入部届をもってきて欲しい」
先輩から説明を聞いていると3人組の男女が入ってきた。
何だこいつ。女子二人も連れて(しかも結構かわいい子だし、ちょっとうらやましいが・・・)
こいつもバスケ部に入るのか?
「1年A組 清水裕也 川野中出身です。入部希望です」
「同じくB組の小早川楓です。」「村田綾子です」
やっぱり入部希望か。
「おっ、川野中の清水って結構有名なPGじゃないか。
それに小早川と村田も女子バスじゃ有名だったよな」
と小宮先輩。ん?こいつこの辺りじゃ有名なのか?
「うん。うん。期待の新人大歓迎だよ」
とテンション高めのかわいい女子の先輩。
さりげなく小宮先輩の横にきて腕に抱きついている。
いつのまに・・・彼女とかなのかな?
何となく3人を見ているとショートボブの女子[村田だっけ?]が俺に声を掛けてきた。
「ねぇ あなたもバスケ部の入部希望者?」
「あぁB組の福島太一だ。ポジションはPGだ」
「へぇ聞いたことない名前だけど、この辺りの中学出身じゃないの?」
「最近仙台から引っ越してきた。聞こえたけど、そっちの清水とか言うやつもPG何だよな?入部したらポジション争うライバルだな」
「そうみたいだな。まぁお手柔らかに頼むわ」
と清水。敢えてライバルと言ってみたのにちょっと拍子抜けしたが、どちらにしもて勝つのは俺だな。
そして、そうこうしているうちに入部希望の1年生が徐々に集まってきた。
男子は15人、女子は10名。観客席に上り先輩たちの練習を見学した。
基礎的な柔軟、筋トレから始まり、ダッシュにパス、シュートなど一通り行い最後にミニゲーム。
基本プレイだけど思った以上に一つ一つのプレイがハードで練習は大変そうではあったけど、理にかなった練習が多く感心させられる場面も多々あった。
そして後半のミニゲームでは、先輩方のテクニックやフィジカルの強さを目の当たりにして自分のレベルをあらためて意識させられた。
確かにこの練習をみたら気後れして入部を躊躇うやつも出てくるよな。
練習が終わり色々と考えながら体育館の外に出ると清水達が居た。
「おい、福島。俺のことライバル認定しといて、まさか入部取りやめたりしないよな?」
清水が挑発する様に聞いてきた。
「まさか。むしろやる気が出たくらいだ」
「だよなぁ!やっぱり先輩達すげぇよ。
入部したらお互い頑張ろうな!」
「お、おぅ」
人懐っこい笑顔で「じゃあな」と女子二人と手を振る清水。
こいつ案外いい奴かもしれないな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます