私とアオアズマヤドリ

縁田 華

わたしのあずまや

アオアズマヤドリという鳥をご存知だろうか。オスが繁殖期になると、小枝などで一見巣に見えるあずまやという構造物を作り、その周囲を青いもので飾り付けるという変わった鳥である。この装飾は何でもいいようで、明らかに人間が生み出したものであるプラスチック類や自然のものである木の実や鳥の羽などを使っている。事情を知らない人間からすればゴミとしか認識できないそれらを、彼らはどこからともなく拾ってきては置くのである。

かくいう私も求愛の為ではないものの、部屋の中(主に机や棚など)をどこからともなく購入してきたフィギュアやキーホルダーなどで飾り付ける。他人からしてみたらゴミにしか見えずとも、私からしてみれば立派なアトリエでありあずまやだ。遥か遠くの鳥たちにとっても同じかもしれない。目的こそ違うが作るものは同じ。意味がわからなくても私は作るのをやめることはない。

違うところも当然存在する。鳥たちが作るあずまやは役目が終われば後は只のゴミ山になる。そして、それが建っている時間は余りにも短い。一方で私のあずまやは役目を終えたと判断したらゴミ山になる事実こそ同じだが、飾りの増減がある。ゼロになることはなく、いくらでもカスタマイズできるのだ。また、鳥たちとは違うもののこちらが集めるものにはある一定の法則がある。彼らは青いものを見境なく集めているようだが、見境のなさでは負けている。あるルールに沿って集めているからだ。このルールは詳しいことをこの場に記すことはできないが、人によって奇異にも映れば納得する理由である。何故なのかは実際にやってみればわかる。

私も鳥たちも人目をはばかることなく何かを作り上げている。それが他人にとっては下らないものであっても、自分たちにとってのそれは輝くものであると言えるから。

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