いつもの散歩道

野口マッハ剛(ごう)

第1話 フリーター、いつもの散歩道をチビと

 チビとの思い出は今日も作って行く。いつもの散歩道、チビはトコトコと自分よりも先に歩いている。チビが尻尾を嬉しそうに振りながら。自分はそんなチビを見てなんだか安心する。

 散歩道には桜の花びらがチラチラと舞っている。チビはそんな桜の花びらを時々立ち止まっては、ジーっと見つめて何かを思っているように見える。何を考えているのだろうか?

 スマホが鳴った。電話だ。ああ、友だちのアカネからだ。出てみる。

「もしもし?」

「もしもし、ケン? 今は何をしていたの?」

「うん? チビと散歩しているけど」

 しばらく通話をして電話を切る。

 いつものことだなぁ。

 すると、チビが歩き始める。自分が引っ張られながら、いつもの散歩道を歩いて行く。


続く

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