Back to the Reality
床町宇梨穂
Back to the Reality
「相変わらずいい女だな!」
僕は久しぶりに彼女に会って思った事と正反対の言葉を口にした。
昔の彼女はとても洗練されていて美しかった。
そして、僕は彼女が夢について語る時の表情が大好きだった。
「現実はそんなに甘くないよ・・・。」
彼女が口にする言葉とは思えなかった。
いつもとんでもない事を口走る彼女を少しだけ馬鹿にはしていたけれど、それはそれでとてもかわいいと思っていたのに、彼女は平凡な女になってしまった。社会と生活が彼女を変えてしまったのだろうか・・・。
僕は彼女が普通の女の子になってしまったことに対してとても残念に思う。
随分昔に現実を知ってしまった僕は彼女の事が羨ましかったのかもしれない。
彼女もこれから僕のようにどこにでもあるような人生を歩んで行くのだろう。
とても寂しいけれど、それが現実なのかもしれない・・・。
「思っていたようにはならなかったけれど、今でも少しだけこの世界に関わりがあるから、それはそれで幸せなのよ・・・。」そう呟きながら煙草の煙を吐いた。
彼女の作り笑いは少しだけ昔の面影があった。
そして、僕は彼女の作り笑いを初めて見た。
なぜか僕はその時彼女を見ていて安心した。
彼女は幸せらしい・・・。
現実と言うのは彼女の言う通り甘くはないし、簡単でもない。
しかし、現実は人間を小さな幸せで満足させてしまう・・・・・・。
Back to the Reality 床町宇梨穂 @tokomachiuriho
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