映画が好きだ。
たったの2時間かそこらの時間で、僕らは幾人もの人生を追体験する。
時に笑い、泣き、怒り、悲しみ、落ち込み、哀れみ、荒む。
決して見ることの出来ない絶景、味わうことのない料理、出会うことのない美女。
エンターテイメントの全てがそこにある。
だから、僕らは映画にのめり込む。
例えば僕らの人生では、ラブシーンでベラノッテなんて流れない。
でも、映画を見る人間は、そのうち頭の中でシチュエーションに応じて音楽を流すことが出来るようになる。
頭の中で、ムカつく取引相手の頭蓋をリボルバーで吹き飛ばすことが出来るようになる。
頭の中で、穏やかな海に恐ろしいサメを解き放つことが出来るようになる。
これは、そんな風に映画によって様々なことが出来るようになった筆者から、愛する映画への情熱的なラブレターである。