【110本目】眠狂四郎勝負(1964年・日)
えぇっ?アマゾンプライム会員なら【シネマコレクションbyKADOKAWA】に入会すれば座頭市も眠狂四郎もガメラも大魔神も月額388円で見れるんですって!?
【感想】
1960年代の大映といったら、もう無敵状態でした。
【座頭市】シリーズ、【忍びの者】シリーズといった時代劇に加え、【ガメラ】に【大魔神】とくればもう子供も大人もガッチリカバーできる布陣が揃うってもんです(まあそれが奢りにつながったのか70年代に倒産してしまうわけですが……)
さてその大映映画の中でも特に人気のあったのが市川雷蔵がニヒルな剣士を演じる【眠狂四郎】シリーズなわけですが、同シリーズの第2作である【眠狂四郎勝負】は、主人公のキャラクターの方向性を決定づけた作品として大映ファン、雷蔵ファンの間でも名作との呼び声が高い1作になっています。
【座頭市】シリーズの第1作【座頭市物語】や大映版【大菩薩峠】を手掛けた三隈研次が監督を手掛けたこの作品は、タイトルの通り主人公・眠と強敵との勝負がメインになっている映画です。
後のシリーズ作品を見たらわかりますが【眠狂四郎】シリーズって昼ドラ的な女が事情、ガッツリ性描写などのドロドロした要素が軸になる作品が多いです。
【勝負】でもその要素が少ないわけではないですけど、他の作品(【女妖剣】とか)と比べるとかなり抑え目になってます。まずヒロインが凶作に喘ぐ人々を救おうとする勘定奉行のお爺ちゃんだし、(他にヒロインっぽい女性はいるけどメインヒロインは実質彼)、敵役も凶作でも年貢を減らそうとしない悪代官に雇われた達人たち(正確にはとある女性を通じてるけど)、という感じで、シリーズ内ではゴールデンでも流せるような王道時代劇寄りのテイストに仕上がっています。
さて上記のようにこの作品のメインとなるのは眠と強敵との勝負であり、五人もの強敵相手(敵自体はもっと多いけど強敵は五人)と連戦することになる、というのが展開の軸になっています。
仮面ライダーシリーズの劇場版で(【スーパー1】とか【W】とか)、劇場オリジナルの怪人が5体くらい現れてライダーが連戦する、みたいな展開がたまーにあるんですけど、強敵が複数出てきて連戦、という展開はライダーのそれ系の映画とか、ジャンプ漫画とかを彷彿とさせて少年心をくすぐるシナリオと言えます。
で特に訴えたいのがこの映画、上映時期を考えると、キャラクターの差別化に力が入りまくってて驚かされるんですよね。
戦う理由も家族の敵討ち、女目当て、勘定奉行殺しの邪魔だから、純粋に剣士として、って感じで差別化されていますし、戦闘スタイルも刀、槍、手裏剣といった具合にバラバラです。
極めつけには勝負の挑み方まで将軍息女の部屋に割って入る、普通に決闘を申し込む、入浴中に不意打ち、って感じでそれぞれ異なっています。
ある意味、創作で【登場人物の差別化】に悩んでいる人には参考になりそうな映画だとも思います。
【好きなシーン】
基本無頼漢でアンチヒーロー的イメージの強い眠狂四郎というキャラクターを鑑みると、同シリーズの他の映画に比べて彼が普通にヒーローやってるのが非常に心温まるんですよね。冒頭のシーンで侍の息子の少年の仇をとってあげるし、勘定奉行のお爺ちゃんを興味本位と言いながら報酬無しで守りますし。
そばうどん屋の娘に対する接し方も非常に柔和だし、単なる虚無感だけを背負うに終わらないヒーローって感じですよ。後にドロドロしていくシリーズを知っていると余計にこの作品の眠にほっとさせられますw
【丹下左膳余話 百万兩の壺】っていう戦前の映画で、ニヒルな無頼漢だった丹下左膳を子供にも優しいめちゃめちゃ気さくなおじさんに改変されたことがあるんですけど、あの映画を監督した山中貞雄(戦前に死去)が戦後生きてたら、眠狂四郎をこういう風に映画化してたかもしれないな、と思わなくもないです。
眠の敵の一人にいた病弱な剣士に、別の敵剣士が円月殺法打倒のヒントを与えてあげる、という敵間の友情が見られるシーンも好きです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます