【感想】

　マイケル・ベイといえば【アルマゲドン】【トランスフォーマー】で知られる、【細かいことを考えたら負け】な作風の映画を何本も手掛けてきた映画監督ですよね。

　その監督がザ・ロックことドウェイン・ジョンソンを主役の一人に迎えて撮ったのが、この【ペイン＆ゲイン-史上最低の一攫千金-】です。

　さてマイケル・ベイの映画と言えば、【アルマゲドン】が1億4000万ドルに【トランスフォーマー】が1億5000万ドル、最新作のネトフリ映画【6アンダーグラウンド】が同じく1億5000万ドルと、莫大な製作費をそのままド迫力の視覚効果に使用することで知られています。

　そんなベイ監督の一つである【ペイン＆ゲイン-史上最低の一攫千金-】の製作費は、2600万ドルと同監督の映画としてはかなりの低予算（これでも十分高額のはずだけどｗ）になっています。

　実際本編映像を見てみるとベイ監督の十八番であるＣＧは一切使われないですし、爆発も一、二回くらいでした。

　その辺がいつものベイ映画を期待した人にガッカリさせられると思われたのか、日本では劇場未公開でＤＶＤレンタル、動画配信のみととなっています。

　さて内容はと言うと、地球丸ごと全滅させる隕石が落ちてくる！とか乗り物に変形できるロボットが襲来！！とか現実離れしたＳＦとかではなく、1990年代に実際に発生した誘拐事件をベースにした映画となっています。

　ただ実話ベースにしては漫画みたいな展開が連続して起こる映画で、その辺がこの映画をただのクライム映画ではなく、クライムコメディ映画にしている理由かな、って風に思えます。

　後述しますけど主人公の誘拐犯トリオを一言で表すと筋肉バカなので、彼らの犯罪行為やら計画実行中の失敗やらを笑いながら見守るのがメインのストーリーになっています。そういう意味ではなんだかんだ言って、ベイ映画の一つだなって思います。脳筋映画なわけだからｗ

　映画のオチは主人公が【ゴッドファーザー】や【スカーフェイス】のようなギャングに憧れて犯罪を犯すも、映画のようにはうまくはいかず……という世知辛いものになっています。

　最近でも【アメリカン・アニマルズ】なんて映画が公開されたりしてますけど（これも実話映画やん）、凡人が犯罪者になろうとしたけど映画のようにはうまくはいかなかった、みたいな物語は、世知辛くてリアルな話が好きな人はハマるだろうし一定の需要はあるんだろうな、って思わされますね。

　ある意味ではマイケル・ベイ監督の、【そりゃ現実は俺の映画みたいにはいかねーよｗ】っていう照れ隠しが込められた映画、って思えるのは僕だけでしょうか？

【キャラについて】

　もうねぇ、これほどまでに【３バカ】という言葉が似あう三人組を僕は見たことがありません。

　直情的で脇も甘いリーダーバカに、基本クズな上に粗チンなバカに、筋肉凄いけどメンタルの弱いバカと、三者三様のバカが主人公。なのにみんな筋肉はあって威圧感が凄い。ＤＶＤパッケージとかネトフリのサムネイルとか、いかにも筋肉で何でも解決するアクション映画の主人公感あるのが、見終えた後だと腹立つｗとにかく主人公トリオがそろって筋肉バカなので、主目的の犯罪行為だけではなく実行前とか休憩中とかのやりとりだけでも楽しいです。

　マーク・ウォールバーグ演じるリーダーのダニエルとかあまりにも不測の事態に取り乱しまくるから、マジでダイアンの津田に見えてきましたもん。

　二人目のバカを演じてるのはアンソニー・マッキーですが、この映画での彼にはとてもキャップの右腕を任せられないｗ

　ただ一番筋肉が凄いわりに常にびくびくしてて繊細なポールのキャラは、ドウェイン・ジョンソンの演技がすごくハマってましたね。【セントラル・インテリジェンス】で元いじめられっ子の演技がリアルだった時も思いましたけど、ロック様俳優・ドウェイン・ジョンソンとしてはあの巨体のわりにものすごく繊細なキャラクターがハマっていると思うので、この辺は映画として彼をすごく上手く使ってるな、と思えました。

【好きなシーン】

　上にも書いたようにマイケル・ベイにしては爆破シーンが少なめだし悪く言えば地味な映画なんですけど、やっぱり劇中の節々で【あ、やっぱりベイ映画やな】って思わせるシーンはところどころにあります。

　序盤の筋トレシーンとか（こっちまでダンベル上げるくらいはやりたくなってくる）、中盤の計画成功後のセクシー美女を囲った酒池肉林祭りとか、頭ではなく精神で格好いいと思わせる男の生き様！！って感じですし。

　あの辺は見てて【あ、ＣＧとか爆発に割けなかった映像をこっちに使ったんだな】って思いましたｗ

　あとは後半で犯行計画がほぼ【詰み】に達した時に、瞑想をするような感じで筋トレをするダニエルも、キャラ通りって感じでツボでした。