【121本目】 キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー(2014年・米)
シットウェルさん、今見たら完全にラーメン発見伝の人。
【感想】
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の手掛けるキャプテン・アメリカシリーズの2作目にして、【アイアンマン】以来続くMCUシリーズの9作目です。
【アイアンマン】の次は【インクレディブル・ハルク】【アイアンマン2】という感じで順に追っていく予定だったのですが、好きな映画優先の方が書きやすそうだなということでこの映画で行きます。
元々僕はキャプテン・アメリカ(以下、キャップ)は【1940年代のヒーロー】ってとこがキモだと思ってたので【アベンジャーズ】の後キャプテンアメリカの続編が始まるって聞いて「これ以上何すんねん?」みたいに考えてたとこがあったんですけど
(なお原作漫画とかは一切未読)、ふたを開けてみれば大いに楽しめる仕上がりになっていました。
ゴレンジャーにとってのイーグル、ギャバンにとっての銀河連邦警察のように、ヒーローにはバックでサポートしてくれる組織がつきものです。
信じていた組織に裏切られた時、どのように行動していけばいいか?というテーマが、この映画ではキャプテン・アメリカやその仲間たちと、S.H.I.E.L.D.を介して行われます。
組織に見放されたキャップが自分なりの正義を貫く過程故に、MCU作品でも特に評価の高い一作ですが、僕がこの映画が特に好きなのは、やはりストーリー展開を通して、過去のアメリカ映画のヒーロー像をなぞっている、という点にあるかもしれません。
どういうことか、ということをかつてのアメリカの映画の歴史から説明していきたいと思います。
この映画でキーとなるS.H.I.E.L.D.という組織は原作コミックでは1960年代に初登場しましたが、これには【007】などのスパイブームの影響がありました。なぜその時期にスパイものが流行したかというと、米ソ冷戦の影響がありました。国を揺るがす危機がいつ起きてもおかしくない状況下で、国家の下で危機を防ぐヒーローがバカウケしたわけです。
前半のS.H.I.E.L.D.の下で働くキャップは正にこの時代のヒーローと重なりますが、コメンタリーでは前半の船での戦いは【007】っぽい、という言葉がルッソ兄弟?から出ていますw
しかし1970年代にはいると、国への不信感(ベトナム戦争、人種差別などが関係)もあって、映画界では【俺たちに明日はない】や【明日に向って撃て!】のような国家や権力に喧嘩を売るアウトロー系、あるいは【大統領の陰謀】のような政府の陰謀を暴く政治スリラーがウケる時代となりました。そういう時代には最早国のサポートを受けた存在ではなく、国に反旗を翻す存在がヒーローとなったわけです。
中盤のキャップたちがS.H.I.E.L.D.の陰謀を暴く展開だけでなく、【大統領の陰謀】で主演を務めたロバート・レッドフォードが黒幕を務めるキャスティングから言っても、【ウィンター・ソルジャー】の展開が国家の陰謀に反旗を翻す1970年代映画の影響を受けていることは明らかです。
その後の70年代後半~80年代のアメリカ映画は、【スター・ウォーズ】や【スーパーマン】なんかのヒットにより、再びアメリカでは単純明快なヒーローものが人気を博していきます。ただしこの時期流行ったヒーローは、その多くが国家に縛られず、自分なりの意思で正義や野望を貫いていました。
その辺のアメリカ映画の歴史を併せて考えると、この【ウインター・ソルジャー】という映画の、【組織の下で正義を行う序盤のキャップ】【組織に裏切られ、追われる中盤のキャップ】【組織から離れて、自分なりの正義を行う後半のキャップ】というシナリオラインは、ちょうど1960年代~1980年代(キャップが永い眠りについていた時期と被る)のアメリカ映画のヒーローの歴史をなぞっているように見えて非常に興味深いんです。
ある意味でこの映画は、前作や【アベンジャーズ】で【1940年代のヒーロー】だったキャプテン・アメリカが、60年代~80年代までのアメリカ映画のお約束を経由して、【現代のヒーロー】へと生まれ変わる映画だった、とも言えるかもしれません。
冷戦期の仮想敵国だったロシア出身のナターシャと、1960年代には迫害の対象だった黒人のファルコンを相棒にしていること、すでに敵方のバッキーを意地でも救おうとしたことも、よりキャップの【自分なりの正義】に説得力を持たせている気がする。
【好きなシーン】
キャップの演説を受けてラムロウの指示を拒んだオタク青年のシーンなんかも鉄板ですが(彼が【エイジオブウルトロン】で再登場したときはうれしかったなー)、色々映画見た後でこの作品見ると、過去の色々な映画のオマージュに気づかされますてそっちが興味深いですね。
【マラソンマン】見た後だと冒頭のジョギングのシーンで「うっわまんまじゃん!!!!」ってなりますし。MCUみたいな大作シリーズのこんな名作でもこんなにわかりやすくオマージュってしてるんだ、って気分にさせられます。今後自分が創作するときももっと安易にオマージュしてみようかなとも思わせてもらえるw
またこれはMCU内のキャプテンアメリカの映画全般に言える話ですが、とにかく格闘戦が熱いですね。
前半でマジモンの格闘家(ジョルジュ・サン・ピエール)相手にガチバトルしていることも見どころですが、中盤のウィンターソルジャー戦でのローリングソバットからのニードロップは、MCU映画の中でも上位に入る激熱アクションです。
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