第18話 過去
私は最初からこんなんだったわけじゃなかった。
幼い頃は典型的な人見知りで、一人でいることが多かった。一人でいることが好きだったし、それを苦痛だと思ったこともない。昼休みに図書室で静かに本を読むのが楽しかった。その頃は人に興味なんてなくて、ただただ本の世界にしか興味がなかった。だから、帰りのHRが終わると秒で帰っていた。
中学の途中当たりだっただろうか。日直で残っていた時に、放課後いつも教室に残っている男子3人が話しかけてきたのは。不思議だった。今まで誰にも気づかれなかった私に気づく人間がいたとは思いもよらなかったから。聞いたところによると、彼らは、目指していた部活をあきらめた3人なようだった。ああ、この3人はショックを受けてるのかなとなんとなく思い、それから一緒にいるようになった。3人と過ごすのは楽しくて、時間が過ぎるのが早くて、人と話すことがこんなにも楽しいなんて知らなかった。だんだん仲間も増えて、さらに楽しくなった。もちろん、私以外、全員男子だったけど。
あの頃の私は、これが友だちなのだと思っていた。男女の友情も成立すると、信じていた。
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