第6話 いらない特技

 私は人前で話すことが苦手だ。それはずっと前からで、たいして気にしてないけど。幼い頃は人より劣ってることを気にしてたのか、今でも残ってる癖がある。

 課題をその日のうちに終わらすこと。人と話せない分、何か得意なことを作ろうと、誰よりも早く課題を終わらせ、誰よりも早く書き取りが終わるよう精一杯努力した。でも、それは無駄に過ぎなかった。どんなに課題を早く終わらせようと、結局世の中はコミュニケーション能力のある者を優秀だと判断する。

 私の入っている部活に、途中から入ってきたコミュニケーションお化けのような同級生がいた。私が必死に築いてきた後輩たちとの信頼関係を一気に壊されたようだった。その子が入ってすぐ部活の中心はその子になってしまった。前までは私1人で頑張って部活を引っ張て来たのに。…今中心にいるのはあれだと。なんで…ああ、そうか。結局コミュニケーションとれなきゃ何にも意味ないんだ。何が出来ようと関係ない。その事実を知った時、私はひどく冷酷な目をしていたことだろう。

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