第56話 最後に③

 照れ隠しにそっぽを向いて話す悪西川さん。


 「別に最後にしなくたって・・・」


 「いや。これは私自身へのけじめでもあるんだ」


 悪西川さんはそう言って「今度こそさよなら」と。

 その瞬間西川さんはまた、俺に寄り掛かる形で意識を失った。

 数秒後

  

 「あれって私寝ちゃってた?」


 目を擦りながら俺に問いかける西川さん。


 「あぁ。気持ちよさそうに寝ていたよ」


 笑顔で答える。


 西川さんには悪西川さんとの話はしなかった。

 話したら、きっと西川さんは自分を責めてしまう。そう思ったからだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る