第50話 行方不明⑦

 「けじめだよね」


 「・・・あぁ」


 佐阿にキスをした。


 慌てて私を突き放す佐阿。

 

 「最後に佐阿とキスがしたかった。これでいいよ。もう、私は十分だから。離して」


 「・・・ごめん」


 佐阿は申し訳なさそうに謝りながら手を離した。


 けじめをつけようとして来た佐阿に対して私は未練たらたらだった訳だが、もうこれ以上佐阿と関わらないでおこうと思う。

 これ以上私が関わったら佐阿に迷惑をかけてしまうし、自分自身つらいのだ。この実らない恋を追いかけ続けるのは。


 その日、自宅に帰った鈴は自分の部屋で気が済むまで泣いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る