第36話 向こうから①

 ピンポーン


 インターホンが鳴り、俺が玄関に行くと予想外の人がいた。

 

 「あの。以前病室来てくれましたよね」


 なんと西川さんが家に来たのだ。


 「なんのようですか?」


 「えっと…その…お見舞いに来てくれたお礼をと思って…」


 「もしかして、憲に言われて来たんですか?」


 「?!そ、そうなんだ。弟がお礼を言うようにって」


 憲の奴め。西川さん自ら俺の家に出向くように言って記憶を取り戻そうって魂胆か?


 「あのぅ。玄関じゃなんだから中に入っていい?」


 …少し図々しいと思ったがお茶くらいは出さないと思い西川さんは家にあげることにした。

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