第35話 幸せの為に③

 「…そんなこと言いうだ。お姉ちゃんは…お姉ちゃんはお兄さんの為に変わろうとして努力していたのをお兄さんだって知ってるだろ!なんで、なんでそんなことを…」


 確かに西川さんは俺の為に変わろうとしてくれた。だが、それは西川さんにかなりの負担になっていたに違いない。

 このままそっとしておけば西川さんは負担など感じずに…。


 「僕が間違っていた」


 「やっと分かってくれたか」


 「お前はもうお兄さんでもなんでもない。もう二度と顔も見たくない」

 

 走って公園を後にする憲。


 「待てよ」


 その後を追いかけると数メートル先で憲が立ち止まって下を向き言う。


 「僕は絶対にお姉ちゃんを元に戻す。邪魔しないで!」


 それだけ言い残して憲は再び走り去った。

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