第24話 変わっていこう

 今日も私は神社に来た。

 いつもの様に手を合わせてお祈りする。けど、いつもとは違うことが一つあった。

 今日は別のお願いをした。


 「神様。私は変わっていこうと思います」


 今まで周りの人なんてどうでもよかった。自分自身もどうでもよかった。

 消えて無くなりたかった。

 そう思っていたのに今はそう思えなくなった。

 もし、今から消えていくのなら私は消えたくないと思う。

 そう思えるのは彼がいるから。

 彼は私の為に悩んだりしてくれる。たまによく分からない事を言うけどそこはご愛嬌。


 「彼は私の為に色々してくれたのに私は何もできていませんでした。だから—」


 私が言い切る前に声が聞こえた気がする。


 変わりたいの?


 この声はきっと自分で作った妄想の声、幻聴だ。

 幻聴と分かっていても何故か、この声を聴くと安心する。


 また、手伝ってあげようか?

 

 「いえ、自分自身で変わっていきたい」


 私は自分で彼に何かしてあげたい。

 自分の力だけで変わらないとそれは私が彼にしてあげたと言う事にはならない。


 いいんじゃない。頑張って。


 この一言を最後に幻聴は聞こえなくなった。

 不思議だが、もうこの幻聴の声を聴くことはない様な気がした。




 私はあなたであなたは私だから、必要になったらまた。


 幻聴が最後にそう言ったのは西川さんには聞こえていなかった。

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