第14話 帰り道②

 「クス。クスクス…」

 

 …俺は真面目に答えたつもりだったが西川さんはクスクスと笑っている。

 何が面白かったのかは分からなかったが、初めて西川さんが無表情じゃない表情を見た。

 その西川さんの笑う姿に俺は見惚れてしまった。

 

 「…私の顔に何かついてる?」


 西川さんが自分がずっと見つめ続けられているのに気づき聞いてきた。

 

 「いや、西川さんの笑顔が可愛いなって…あっ」


 いきなり聞かれたので思わず本音を言ってしまった。

 俺が変なことを言ってしまったせいで西川さんは俺のいる方の反対に顔を向いてこっちを見ないようにされた。

 

 「(…………恥ずかしい…けど、可愛いって…)」


 残念な俺は西川さんがテレていただけだったとは気づかなかった。 

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