第7話 お引越し①

 「さくまにぃ。早くぅ。もう頑張ってよ!」

 

 「そんな事言っても、重い…」


5月の連休ゴールデンウィーク。

 日本の大型連休。

 こんな日は学生なら家でゴロゴロ。もしくは友達と遊びに行くであろう。

 だが、俺はそんな事出来ない。

 アルバイトをしている訳ではない。

 家の荷物をトラックに積むのを手伝っているのだ。


 「僕たちが運ぶので置いておいて下さっても良いですよ」

 

 心配して言ってくれた業者の方々に申し訳ないのだが、これは罰なのだ。

 なので丁寧に俺は断ってこの重たいに荷物を運んで行く。


 「(あのクソ兄貴が!)」

 

 心の中で怒鳴る。

 この罰の提案は兄である大樹たいきからの提案なのである。

 俺は毎日、自宅から1時間ちょっとかけて高校に向かっている。

 明らかに不便である。

 なので兄貴が引越しをするように指示を出したてきたのだ。

 出してきたと言うのは兄貴は海外で働いている。

 俺としても、外に出ると近所に住む昔の同級生に会う可能性があったので引越しに賛成した。ただ、兄貴は一言。


 「でも、引越しは紗季に迷惑をかけるな。紗季は来年受験だしたなぁ」

 

 「たいきにぃ、いいよ別に。私、さくまにぃ見たいに馬鹿じゃないから1日の引越しくらいじゃどうと言う事もないよ」


 「そうか…でも、迷惑かけた事に変わりはないからな。佐阿、ゴールデンウィーク中は紗季の奴隷な」


 と言う訳で、「1番重いのはさくまにぃ、一人で運んで」と紗季からの命令を守って頑張っていた。

 

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