第12話 仲間

「はい、以上で今日の連絡は終わり明日もみな遅刻しないように、解散」


担任の終わりの挨拶が済むと、木の葉が風に揺らされる音が響き渡る程静粛な空間が、爆発したように騒がしくなった。

放課後になるとクラスメイトは各々まるでプログラムされているかの様に違う行動をとる。

足早に下校する者、他のクラスメイトと混じり談笑する者、担任と真剣な表情で話す者、提出物の課題を泣きながらやる者…そして異性の生徒とイチャイチャする者。


「じゃ、カイ…海人一緒に帰ろうぜ」


「うん、それはもちろんなんだけどさ…」


「ん?どうかしたか」


「なんか凄い視線周りから視線感じるんだけど…」


「ああ多分妬みの視線だ、あいつら異性には凄い奥手なんだでも悪いやつらじゃないぞ」


琢磨はそう笑顔で言った。その琢磨の笑顔に春佳は少し緊張が解けた様子で「そっか」と国宝レベルの笑顔で返事をした。


教室を後にし校門へと向かうと、そこいた二人の影がこちらの存在に気付き駆け寄ってきた。


「小波と岡野先輩か」


と琢磨は独り言の様に呟いた。が地獄耳なのか、雷の呼吸の持ち主なのか岡野 華には聞こえていた。


「なになに琢磨君!私たちじゃ不満っての!?」


「ち、違うそんなんじゃ…」


「え?先輩なんか言ったんですか!?」


「違うよ小波、なんも言ってなんか…」


「私たちだけの世界だもんね、?」


春佳は悪い笑みを浮かべながら、もう既に起爆寸前だった爆弾をストレートパンチで爆発させた。

爆弾二人は怒りでその場に倒れ、琢磨は完全キャパオーバーで頭がショートし、無言で立ち尽くしていた。

その話は至極当然学校中に広がり、その次の日の琢磨の一日は火消し活動で大変だったとかなんとか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る