第3話 トキメキ
「許してくれるんですか......? 」
カイトこと海人 春佳は、不安そうな表情で聞いてきた。
そんな彼女に対して琢磨は真剣な表情で応えた
「うん、だからさ敬語なんてやめない?カイト」
その琢磨の返事に春佳の心のどこかで何かの芽がちょこんと顔を出したのに春佳は少し気付いていた。
その後の2人はといえば昔ながらの親友の様に楽しいひと時を過ごした。
「つーかさカイト」
「ん? 」
「俺の目の前にいる美少女がカイトってことは俺の性癖もろもろもバレてるって事だよな......? 」
「うん、そうだよ。確かイカさんって触手系が......」
「やめやめやめっ! そういう系が好きだからって理由でイカって名前じゃないから酢イカだから深読みして勘違いしないでよね! (美少女は触れないんだ)」
「いや後半の方自分で墓穴掘ってるよイカさん......あとツンデレキャラみたいな口調になってるのもつっこんだ方がいい? 」
「あの冷静に分析しないで死にたくなるから」
そんなこんなで日が沈むまで話していた2人は長居しすぎるのも良くないとファミレスを後にして
最寄りの駅までの道を歩いていた。
「この後少し遊ばない? イカさん」
「いやちょっと夜は予定があるんだごめん、あとやっぱそのイカさんっての気恥ずかしいから琢磨にしてくれないかな」
「そっか、残念だなイカさん」
「うん変える気ないのねわざとだよね」
「じゃあ次は、いつあおっか」
駅の改札が見えたところで春佳から次に会う約束を持ち掛けた
「次? また会うの? まあいつでもいいけど」
「また会うの?ってなによイカさん。怒ったから明日ね明日」
カイトこと美少女の春佳は少しムッと頬を膨らませながら言った。
「明日!? 」
その春佳の提案に琢磨は驚きを隠せず思わず叫んでしまう
「そう明日、ダメだった...? 」
そんな琢磨の反応に春佳は少し寂しそうな表情で琢磨に尋ねる
「い、いやダメってわけじゃないけどさ......」
「よし、じゃあ決定ね」
「......わかったよ」
彼女のその強引な取り決めに少し飽きれた表情のつもりで返事をする琢磨だったがその顔はニヤけていて気持ちが悪くとても見せられるような顔ではなかったことは本人の為にここでは隠しておく。
「じゃあ明日の午前10時にこの駅ね遅刻しないでねイカさん」
「おうわかってるよ」
「じゃ」
「ああじゃあな」
琢磨と別れと告げた春佳は改札を抜けた後、ガラガラな各駅電車の椅子へ座ると
彼女は今日あった出来事を思い出した。
「初めて本当の男の子の友達ができた、初めて私を友達としてみてくれた......」
ふっと彼の顔が頭をよぎる。
すると彼女の心拍数は急速に上がっていき、顔がほんのりと赤らみ
呼吸は段々と乱れていっていた。
その後の春佳はというと、彼の事を常に考えてはボーっとしてしまい、家族に熱でもあるのかと疑われてしまう程だった。
春佳はこのままだと夜も寝れないと確信があったので、
動画サイトで『聞いたら5分で寝れる!安眠用BGM』となんともうさんく......効果がありそうな音楽を聴きながら布団に入った。
本人いわく、こういう系等の物は信じていないらしいが、わずか30秒で爆睡してしまった事は本人の名誉の為にここでは内緒にしておく。
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