第14話 家族会議


「俺これからは男装して過ごそうと思います」


 家に帰ると、母と、兄ズは髪の毛を見て驚いていた。そこに追い打ちの男装する宣言には、帰ってきてそうそう何を…と反対を食らいそうになったが、1ヶ月の家出の前科があるため、反対しないが賛成もしてくれない。


 ちなみに、シュヴァが家にいるのはOKになった。


「男装のなにが問題なのでしょうか?」


 この世界の学校は魔力がある事が前提となっており、12歳からである。14歳ぐらいが暴走しやすいので暴走しないように訓練する為の物となっているため、男女別はあまりない為性別がバレることは無い。 


 そもそも魔力無い俺が学校に通う必要はないし、普通の学校には、魔力測定があるので通えない。


「リディ…貴方はシルヴィア家の娘なのよ?」


 この国の王様は家系じゃなくて力。

王候補が、話し合いや戦いで王を決める事になっている。まぁ日本の国民投票的な。そして、大体が水のシルヴィア家、火のファミリア家、土のドリランド家、風のラミリア家の4家から王が決まっている。


 要するに俺は前王候補の娘なのだ。しかも、ファミリア家は母の実家である。


 王候補もとい貴族は貴族用の学校に行くことになっており、コネと風格を身につけるための学校となっている。もちろん男女別授業もある、12歳からの中等部と16歳からの高等部の一貫性だ。


 卒業と同時に貴族社会に出るための高等部はある意味政略婚の場と王を決めるための準備とっ言っても良い。ヒロインちゃんは高等部に転入してくる。


 つまり母が言いたいのは、男装は貴族の娘として、ふさわしくないし、学校で浮くと言っているのである。しかし、別に男女別授業と言ってもダンスぐらいだし、ダンスも女子生徒が男子パートを踊ってはいけないとはないよな? 勝手に別れているだけだし、剣術の授業も女子生徒が取ってはいけないというものでもない。


なので、男女別授業は別に勝手にそうなっているだけで、本当はどっちでもいいのだ。実際父の友達に剣術が嫌で女子生徒しかいない、裁縫の授業をした人もいる。

 それに、俺は髪の毛の色のせいで性別がまだ広まっていない。8歳からのお披露目会も再来月なのだ。


「俺は男らしく振る舞うので、大丈夫です」


母となんだか噛み合わない会話をしながら、押し切る。


「名前もリディアではなく、ヴァイスと名乗ろうと思っています。認めていただけないのならば…家を出て、一人で生きていこうと思います」


 ヒロイン来たらいくら優しくしても軌道修正とかされたらどうしようもないし、男のモブの様に過ごすのが一番良さそうだから、ここは引けない。この家に産まれた以上学校は必須だし、魔力0なので、貴族学校以外は入学すらできない。


 結果、見事勝利を収めたのだが、髪の毛の長い男性もいるので、髪の毛を無造作に切るのだけはやめてくれと言われた。兄ズから特に。


家族会議後、鏡の中の自分を見てみる。


「自分で切ったけど…そんなに変なのか?良いと思ってたのに…」


「ボサボサー!」


後ろから、シュヴァが大きな声でそういった…まじか、わりとショック。


「いったなー」


シュヴァをワシャワシャと撫でたあとで、買ってきたネックレスをシュヴァにつける。


「ほら、シュヴァ! これつけろ」


首輪は嫌と言われたのでチェーンタイプのネックレスにネームタグをついたものにした。シュヴァの名前と俺の名前が掘られている。


「むー首に何かつくのはやーなのー」


やっぱりいやいやするので、俺の首から同じものを取り出す。


「俺とお揃いでも嫌か?」


すると、目をキラキラさせ、首をこちらに差し出す。


「お揃いー! つけるー! はやく!!」


 お! 良かった。

 しかし、子供ってお揃いに弱いよな。まぁ、これでシュヴァが討伐もないし、街でも騒動にはならないだろう。本当はずっと影の中か、人型でいて欲しいのだが、それはまだきついらしい。


とりあえず、男装の件、シュヴァの件も一件落着かな…?


 …多分。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る