第7話 8歳、初家出

シュヴァからの話を要約すると、3日かけて家族に呪いとも思える魔法をかけていた。内容としては、俺の見た目に対する不信感を煽り、魔物つきになった事で、あの子は悪魔だと思わせたらしい。




 影で分身ぽいのを2体つくり、父にはあの子は普通じゃない、これからもっと不幸を呼ぶと、母にはお前が産んだ子は悪魔だと、兄ズにはあんな妹など可愛がっているとお前達まで、同じような目で見られるぞと言ったりを、寝ってる間も囁きまくったらしい。




 3日間そんなことしたら、最初は思ってなくても、ノイローゼやばいよね…。


 おかげで、母と父もギスギスしているらしい。




「まじかよ…」




 想像よりヤバそうでした。そして、影で分身って…影に潜ることもできるらしいし、どう言う仕組みだよ!


しかし…どうやって修復しようか…




バン




「お父様お話があります!」




「誰が出ていいと言った?」




 父にはじめて睨まれた、声も冷たく、まるで別人のよう…3日でここまで変わるのか?




「まったく、今までどうかしていた…こんな子が可愛いかったなんて…悪魔憑きが…」




 …ブチ。いくら何でも言いすぎだろう?




 シュヴァのせいにしても、今までを否定するんじゃねぇ




「うるせぇクソ親父が」




「く、クソ…!? 何だって!?」




「この間まで娘大好きオーラ出しといて、ちょっと魔物拾ってきただけで、手のひら返してるんじゃねーよ!」




「リディア…? なんだいその言葉遣いは?」




「そんなに俺が厄介なら家出してやる」




 家から飛び出した。




「うわっ、くら…しかも雨かよ」




「ヴァイス…ごめんね。僕のせいで」




「いいよ、それより犬になっとけ、したら濡れないように抱えててやるから」




「犬じゃないもん! いい、一緒に濡れる!


 それよりどこ行くの??」




「ん~どこ行こうか?


 あ、シュヴァの母親のとこだけは行かないからな」




「なんで!?」




 ショックを受けているようだが、無視をする。実行犯はシュヴァでも元凶はアイツだし。




 店が空いていたらな…服を売るのに…寒いしどうしようかな…ルイなら迎え入れてくれそうだが、服がな、ドレスなんだよな…。




「迷ってても仕方ないし、ルイのとこ行くか」




俺は他に行くところないし、ルイのところに行くことにした。




トントントン




「はーいー、あれ?ヴァイスじゃないか!


 どうかしたのかい?こんな夜中に」




「ちょっと泊めてくれ」




「いいけど…って君女の子だったのかい? その服! どっかの令嬢みたいだよ!


 そしてとなりの子は…?」




「これは親の趣味だ。ルイの服かしてくれ、隣のはシュヴァ、魔王とこの子犬だ。」




「シュヴァっていうの!ヴァイスにつけてもらったの!」




「あぁ! あの子か! これはまた…なついてるね。


 そして、親の趣味って…とりあえず、濡れてるし、風呂入りなよ。服用意してくるし」




「助かる、ありがとう」




 まぁ、女の子なんだけど、ルイは何かを納得したようで、何も言わずに家にあげてくれた。




「あ、皆寝てるから静かにね」




「あぁ」




 風呂場は質素でシャワーがあるだけ。家もそうだが、この世界では温泉などが無く、お湯に浸かるという感覚がなさそうだ。




「シュヴァ、ヴァイスと一緒に入る~!」




 今は男って事にしてるし、ヴァイスは家でもほとんど一緒に居なかったから俺を男だと思っているのか、それとも女でも関係なしなのか…




「犬型になれ! 洗ってやるから」




「シュヴァ犬じゃない!」




「毎回言うけど…じゃぁなんなんだよ」




「おーかみだもん」




ぷくっと膨らましている頬が可愛いい。




「はいはい、じゃぁ狼になってくれるかな?」




「はーい!」




 犬型になったシュヴァを先にゴシゴシ洗ってお湯で流してやる。




「ルイー」




「も~静かにっていったのに~。なーに?」




「こいつ拭いといて、その間に俺も風呂はいるし」




 ぽんっとルイのもとにシュヴァを投げる。




「ガルルルル」




「え、なんか、僕に対して威嚇してくるけど…!?」




「いいからよろしくな、あと服はそこおいといて」




 ふぅ、やっと一人になれた。とりあえず、俺の親は男の子に女服着せる変態だとルイには思われているが…まぁ、いいか。家族の魔法…解けるのかな?




 元の不安を煽ったりしてるから解けなさそうだけど…思ったよりショックだな。




 明日はとりあえず服を売って…クソッ冒険者になれればよかったのに。なんで年齢制限あるんだよ…12歳って、4年後じゃないか…。




 風呂を出ると、服が用意されていたので、着替えるが、ぶかぶかしていた。




「ルイ、ありがとう」




「女服来ていたせいか、ぶかぶかなのも可愛く見えるね」




「やめろよ」




「ごめんごめん。今日は聞かないし、僕のベット貸すけど、明日何があったか、どこの家の子なのか聞くからね? おやすみ」




「あぁ、おやすみ」




「後この子返すね~噛まれて大変だし」




「クゥーン」




「忘れてた。ごめんな」




俺は、シュヴァを抱っこし、もふもふなでなでしまくった。




「噛んじゃ駄目だぞ。後、今夜はそのままでいてくれ」




「クゥーン」




もふもふはほんとに癒やされる。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る