息子とママ

アール

息子とママ

「うえーん!

夏休みの宿題が全然おわんないよぉ!」


「全く、この子は。

去年もそうやって夏休み中、全く宿題をやらなかったせいで今日みたいな最終日に慌ててやっていたじゃないの!

本当にあなたは過去から何も学ばないわね!」


「だって……!だって……!」


息子は泣きじゃくりながらも必死で計算ドリルの問題を解き続けていた。


「本当にしょうがない子なんだから!

今年からママは鬼になるわ。

去年はあまりにも可哀想だったから宿題を手伝ってあげていたけれど、もう今年は手伝いませんからね!」


そう言うと、母親は怒って別の部屋へ歩いて行ってしまった。


そしてその5時間後。





夕方となり夕飯の支度が出来た為、母親は息子の勉強部屋のドアの隙間からこっそりと中を伺った。


あれからだいぶ経つと言うのに、まだ息子は机に向かい、ペンを走らせていた。


「ハァ、仕方のない子ね」


母親はそう呟くと扉をガチャリと開け、息子の近くへ歩み寄った。


「見せてみなさい。

母さんの分かる範囲で宿題を手伝ってあげるわ」


「か、母さん……!」


息子は感激のあまり、再び目から大粒の涙をこぼし始めた。


そんな息子の頭を母親はよしよしと撫でながら呟く。


「泣いてばっかりで本当にしょうがない子ね。

さあ、見せてみなさい。

あと宿題は何が残っているの?」


その母親からの問いに息子はパァッと顔を上げ、笑顔でこう言った。






「残ってるのはね…………………あと3人分」

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息子とママ アール @m0120

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